セガのリードプランナー後藤功士氏の特別講演 −ゲーム制作におけるたった1つの大切なこと−

CG-ARTSの認定教育校である、KCS福岡情報専門学校にてセガのリードプランナー後藤功士氏を講師に迎え「ゲームクリエイター特別講演−ゲーム制作におけるたった1つの大切なこと−」が、在校生と業界志望の高校生など約70名の参加者のもとに開催された。
まず、ゲームづくりにおいて何が一番大事だと思うか、という後藤さんから参加者への質問に、パッケージが大切?金額かな?という答えが学生さんから返ってくるなか、後藤さんが大切にしていることについてポイントが伝えられた後、先週22日に発売された「クロヒョウ2」のPVが上映された。

後藤さんは、ゲーム制作において、なぜコンセプトを固めるところが一番重要なのかについて、50人のプロジェクトになると基準も曖昧では定まらない。50人いれば、50通りのカッコイイがあるし、好みがあるので、同じものを想定して制作が進行できるように、始めの段階でコンセプトを詳細に決めておく必要があるという。
つづいて全体のコンセプトをはじめ、舞台設定、キャラクター設定について解説された後、「街」や「バトル」といったそれぞれのパートでのコンセプトづくりから、具体的に制作に入っていく段階について事例をあげて説明された。
ゲームづくりについて後藤さんは、『コンセプト』を表現できるよう『システム』に落とし込み、攻略できる仕組みをつくることで『ゲーム』になる。コンセプトを貫くことが大切で、それがぶれるとゲームとして破綻してしまうと話す。
最後にこの業界を目指す方へのメッセージとして、「自分が普段の生活のなかで、驚きに思ったこと、感心したものについて毎日の体験をたくさん溜めておいて、引き出しを増やすことが大切。実際に自分で体験することが一番だと思うので、自分で行って、食べて、見て感じて観察し、それを人と話してほしい」と話した。加えて「もう1つ、自分のやりたいことを実現するために、技術も持つことが大切。もしできない場合はそれができる人とつながることが重要。私はゲームにおける技術的な部分はできないので、それができるデザイナー、プログラマーとのパイプをつくった」と教えてくれた。コンセプトを生み出すための引き出しを多く持ち、いざそれを実現するという段階では技術的な部分まで考えられる素養や手段が必要なのだろう。

和やかな雰囲気のなか参加者と対話しながら講義は進められ、参加者もとても興味を持って最後まで聞き入っていた。質疑応答では、制作期間について、ソフトをつくるときのゲーム機の選択についてなどの質問があり、懇談の場では学生に囲まれてサインを求められたり、質問をうけたりと賑やかな講演となった。

開催情報
・日程 2012年3月25日(日)
・会場 KCS福岡情報専門学校
(福岡市中央区春吉1丁目11-18)
http://www.kcs-f.ac.jp/
・時間 10:15〜11:35
・講師 後藤 功士 氏(株式会社セガ CS 統括本部 GE 開発本部 第二GE 研究開発部 プランニングセクション リードプランナー)