CG-ARTS アニメーション実技試験2023
第5回目となる「CG-ARTSアニメーション実技試験2023」では、310名の課題提出がありました。
試験にご参加いただき、ありがとうございました。
CGアニメーションを学習されている方や指導者向けに、試験で使用したCGデータ各種を公開しております。
ダウンロードを希望される方は、フォームから申請してください。
含まれるデータ:
1. 絵コンテ(PDF)
2. 3DCGデータ:キャラクタモデル、背景モデル(MAYA, 3DSMAX, Blender)
3. タイムコード用データ(AfterEffect)
4. 作打ちビデオ
アニメーション | ・11秒 |
---|---|
モデルデータ | ・モデルデータは、原則、提供された3DCGデータを使用してください。 |
動画サイズ | 1280×720(16:9) |
FPS | 24fps |
フォーマット | MPEG4(H.264形式) |
ファイルサイズ | 20MB以下 |
採点
基礎評価(50点満点)+企業評価(50点満点)=総合評価(100点満点)で採点しました。
基礎評価とは? | 「基礎評価基準(61項目)」に基づく採点です。100点満点で採点を行い50点満点に換算して総合点を算出しています。 |
---|---|
企業評価とは? | 評価企業6社それぞれの「新卒採用レベル」を基準とした採点です。6社*5点=30点満点で採点を行い50点満点に換算して総合点を算出しています。 |
「いいね!」企業評価
CG-ARTS賛助会員企業の中からいいね!評価企業として32社が参加しています。各社の担当が全ての課題に目を通し、お気に入りの課題に「いいね!」マークをつけました。どんな企業から評価されたのか?ぜひ就活などの参考にしてください。
CG-ARTSアニメーション実技試験2023における成績上位作品を公表いたします。
画像をクリックすると動画が再生されます。
第28位
非公開
採点企業6社からの、今回の試験への総評をご紹介します。
全体的にポーズでのキャラ性の表現・重心の移動・足の踏みかえ等の基本的な人の動きの理解が弱い印象を受けました。逆に、階段を上る動きは歩きや走りで経験している為か、比較的よくできていた印象です。重心の表現はキャラクターを動かす際の重要な基礎であり、”ただ立っているだけ”でも、そのキャラクターの魅力を引き出すことができます。今後しっかりとアニメーションの基礎を身に付け、魅力的で感情移入ができるキャラクターを作れる様に頑張ってください!
今回の課題はあまり派手なアクションが無い分、自然な動きや、女の子の元気の良さ、かわいらしさなど繊細な表現が求められた課題でした。細かな仕草や表現がとても重要になり、最低ラインを超えている人がかなり少ない印象でした。じゃんけんや最後のピースでは体が固まったまま動いている人が多く、全体的にロボットのように見えてしまいました。そして非常に多かったのが、階段を登る際の左右の手足(右手右足、左手左足)がほぼ同時に前に出てしまっている人や、その腕と足の運びでは本来階段を登ることが困難な動きになってしまっている人。どれだけ感情表現や全体の流れ、動きや仕草が良かったとしても、手足が同時に出てしまっていたら大事故です。とても日常的なシチュエーションのため、自分自身でリファレンス動画を撮影しやすい課題だったので、基本を忘れずに取り組んでいきましょう。
審査作品の提出に際し、提出のフォーマットの基準を満たしていない作品がいくつかみられました。プロになるとオーダーされた納品形式に合わせて制作することが大前提ですので、作品のクオリティ以前にまず納品フォーマットに即したデータの提出をお願いします。
コロナ禍を経て受講生アニメーターのレベルがあがりました。これは仲間のアニメーションを見たり、先生と議論をしたりと、自分の作品に他者の意見を取り入れる学習環境に戻ったお陰だと思います。アニメーションはモデリングと違い、正解がひとつではありません。ですので、一人でひたむきに、作り続けるよりも、参考になる映像をそろえる事や、適切なタイミングで他者からの指摘を取り入れることが、キャリア初期にはなによりも必要な工程だと確信を持てました。
前回の課題よりも難易度が上がったことから、最後まで作り込めなかった方が多かったようです。特に顔のないキャラクターで感情を表現するのは難しかったと思います。Reference撮影を行った方は、その辺りも捉えてアニメーションが出来ていた思いますが、絵コンテだけを見て想像でアニメーションを作成した方々は、リアクションのタイミングや必要なポーズに課題が見られました。アニメーションの制作は時間と労力がかかります。今回のフィードバックを通じて学び、挫けずに頑張っていくことが、将来の成功への大切な一歩になります。あきらめずに頑張っていきましょう!
自然な動きに対する研究と観察が甘く、想像だけでアニメーションしてる人が多い印象でした。アニメーションはキャラに命を吹き込む。と良く言われますが、 まずは自然な人体動作のアニメーションをつける技術がありその上にキャラクターの性格や演出意図、芝居を盛り込んでアニメーションとして完成します。 まだまだアニメーションを付ける基本技術が足りてない人が、ほとんどだった印象です。今回の課題は日常演技で、参考となるリファレンスや資料はいくらでも用意できると思います。 自分で演技したり人の動きを観察したり、想像だけで動かすのではなくまずはしっかり観察し、自分の付けたアニメーションの違和感に気づき修正していく。 自分の中での確認(セルフチェック)を徹底して頑張ってみてください。
いいね!企業からの、今回の試験への総評をご紹介します。
株式会社アールフォース・エンターテインメント
制作者それぞれが思うキャラ像が出て、非常に楽しめました。階段を上る動きが全体的に良く出来いたと感じます。今回も絵コンテに釣られてポーズが不自然・重心がおかしい場合があり、惜しい所でした。また、絵コンテに書かれた指示の意図を理解が出来ているかが作品のクオリティに繋がっていたなと思います。未完成の状態が多く見られましたが、次回に繋げていただき、より良い作品を期待しております。頑張ってください。
株式会社アグニ・フレア
今年も力作揃いで楽しみながら拝見させて頂きました。作品を作るうえで絵コンテや設定などからキャラクターの心情や演出の意図を読み取る事が重要だと思います。皆さんの作品はキャラクターが生き生きとしていて個性を感じられるアニメーションでしっかりポイントを抑えられていると感じました。
株式会社AnimationCafe
過去最大の応募人数ということもあり、それぞれのアニメーターが独自の表現方法でキャラクターの内面を描き出していました。言葉を使わずに全身の動きだけで感情の機微を伝える力は、観る者の心を強く打ち、アニメーションの魅力を再確認させてくれます。年々上がるこのコンテストのレベルには、常に新鮮な驚きがあり、アニメーションが持つ表現の幅広さと深さを感じずにはいられません。これからもこの舞台が、アニメーターたちの成長と挑戦の場であり続けることを期待しています。
exsa株式会社
重心移動や感情表現といった、アニメーション制作において重要な要素が今回の課題にはたくさん含まれています。最後まで作りきるだけで大変だったかと思います。お疲れ様でした。アニメーションに限らずモノづくりはいかに観察したかが重要です。課題を終えた今、友人を連れて近所の歩道橋にじゃんけんグリコをしに行ってみてください。上手く作れたところ、上手く作れなかったところについて色々な発見があるはずです。
株式会社ENGI
コンテの指示通りになっていないもの、レイアウトが間違っているものはその時点で評価から外れてしまいます。決して難易度の高いコンテ内容ではないので、最低限コンテを守るよう意識してください。その上できちんと演出が理解できており、タメツメが評価できる作品に、「いいね」をつけさせて頂きました。前半と後半のゆいにギャップが感じられ、慎太郎のように「ドキッ」とさせられる作品が社内で評価が高かったです。
京楽ピクチャーズ.株式会社
絵コンテという枠の中で自由な発想をされている方も多く好感が持てました。画面には映っていませんが、誰が見ているのか&誰に向けてアクションをしているのかという視点を忘れず、動き一つ一つに必ず説得力を持たせることを意識していただければ、さらに良い作品になると思います。今回はこれらの点がよくできている作品に「いいね!」をさせていただきました。
株式会社グラフィニカ
時間を忘れてすべての作品を楽しく拝見することができました。見る側を意識した絵作りをはじめ、階段を上るときの体重移動やポニーテールの動きなど細かいところまで注意しながら作られている作品は、非常に好印象を持ちました。一方、全体的な動きにメリハリが無い・テンポが不自然など、観察が足りないかな?という作品も目立ちました。感情を動きで表現するのはとても難しい事ですが、「どうしたら相手に共感してもらえるのか?」を意識しながら現状に満足せず「こだわり」をもって今後も作品制作に取り組んでいただくと成長は早いと思います。
グランディング株式会社
300名を超える参加者がいる中でレベルの高い人もいますし、まだまだ勉強が足りない人も見受けられました。アニメーションのクオリティーを高めるアドバイスとしてはこのようになります。
- 設定、絵コンテを読み込みが出来ていない
- リファレンスビデオの理解が足りない
- 実際に自分で演技をしてみる、それを友人に撮影してもらって参考にする
良い点としてはキャラクター性のあるアレンジをしている人が各所にみられたことです。優秀者の作品を研究して自分の作品に取り入れてください。
株式会社クレッセント
課題として難しい内容だったのかアニメーションのテンポが悪いものが多かった印象です。前回の総務とあまり変わりませんが少なくとも事前にスマホでもいいので動画を撮影してどの尺でどのようなタイミングで演技があると心地良いか制作を進める前にプレビズしておくともっと違ったのではないかと思いました。(作品の中にはされている?と見受けれれる方もいましたが)
株式会社ゲームフリーク
絵コンテに固執する事で演技の硬さや、キャラクターの感情や個性の表現不足を招いているように感じました。キャラクターに相応しくない演技も見受けられます。どちらも作る事に意識が向き過ぎて、表現への意識が薄れてしまったのではないかと思います。作品が完成した後、制作上の注意点を読み返し改めて作品を見直して見て下さい。作品を客観的に見る事は現場でも求められます。素晴らしい作品に繋がる事を心から応援しています。
株式会社GEMBA
総数で300を超える作品が集まりましたが、おそらく制作者本人が満足して提出したのは半分もなかったのではないかな?という感想です。コンテを元にアニメーションを作る時、まずは演出意図やレイアウト指定などを読み解いたあと、頭の中で自分の理想とするアニメーションを思い浮かべると思いますが、そのイメージをしっかり作れていないと具体的な映像にアウトプットするのは至難の業です。もし今回、思っていたのと違う仕上がりになってしまった人は、今一度「自分が理想とするアニメーションのイメージ」を分析してみてください。
株式会社ジェットスタジオ
キャラの動きがいかに自然で魅力的に見えるかは常に議題に上がる部分かと思います。それと同時にカメラやレイアウト、気持ちの良いテンポ感なども併せて調整できるとさらに魅力的な作品になるはずです。慎太郎目線っぽくなっているか、レイアウト外してないか、どこに間を入れるのが適切そうかなどなど、総合的に映像をコントロールできるようになるとどんどんアニメーションが楽しくなってくると思うので是非トライしてみてください!
ジェムドロップ株式会社
全体的に動きに少し男性的な要素がある作品が散見され、ゆいというキャラクター性を入れ込めていない印象でした。女の子らしいポーズをよく観察して取り入れられればぐっと良くなるなと思う人が多かったです。作りこんでいる作品はおそらく自分で動いてみて、それを録画してしっかり観察したのだろうなと伝わってくるものが多くあり、良い評価を付けやすかったです。コンテのセリフを自分の作品に対しあててみて、言葉と動きに違和感がないかチェックしてみるとさらに完成度が上がってくると思います。
株式会社白組
今回の課題もアニメーションとして複雑な動きの連続なので、重心の移動や足元の接地感など,基本的なことを踏まえた上で、それぞれのアクションが一つのシーンの中で自然なつながりに見えているかに注力して評価しました。特に階段をリズミカルに駆け上がるのは難しい表現ですが、やはりそこが不自然な作品が目立ちました。学生の方にはこれからもアクションを通してキャラクターの感情が伝わり表情が自ずと見えてくるような3DGCアニメーションを目指して頑張って欲しいと思います。
株式会社StudioGOONEYS
今回の絵コンテは、とてもわかりやすく、丁寧に作られていると思います。実際は、もう少しわかりにくかったり…難易度が高かったりし…演技プランやタイミングなど自分で考えなくていけないこともたくさんあります!演技を考えることはアニメーターが一番楽しい部分だと思うので、そこにたくさんの時間を使えるよう、スピード感も意識して制作ができるとよいと思います。これからも頑張ってください!
株式会社SOLA DIGITAL ARTS
評価させていただく上では、、、キーフレーム(原画)が整理されているか?キャラクターのシルエットが整理されているか?レイアウト(カメラワーク)が整理されているか?キャラクターの感情表現が整理されているか?キャラクターが生き生きとしているか?と言った中でテイスト(リアル寄り、セルアニメ寄り)を加味しつつ検討しました。アニメーションが上手くてもレイアウトが取れていない方も見受けられました。レイアウトにも気を配るとより良い映像になると思います。又いいねを付けた方の中には本当に上手い方と基礎や伸び代がありそうだから頑張れ!の意味合いでいいねをつけた方と混在しています。アニメーションという物は奥深い物ですが、まずは基礎的な概念や絵心を身につけて応用に向かってください。一人でも多くの優秀なアニメーターが育つ事を心から願っております。
株式会社バンダイナムコフィルムワークス
今回実技試験を拝見しまして、良いなと思った方は15名ほどでした。応募総数から見ると少ないかもしれません。課題のコンテを元に、CGソフトでアニメーション作業を始める前にどんなことを行ったのか。そこがポイントかもしれません。既存の映画やアニメのかっこよい動きを良く観たのか。スマートフォンなどを使って、自分で演技をしてみたものを録画して参考にしたのか。アニメーションのうまい人や先生に意見をどれだけ聞けたのか。準備にどれだけ考え、行動できたのかが如実にアニメーションへ反映していたのではないでしょうか。今後も楽しみながらアニメーション作りを頑張ってください。
株式会社フレイム
皆さん、試験お疲れ様でした!今回はアニメーションの重心・重力表現を重点的に評価させていただきました。全体的にフワフワ浮いてしまっていたり、片足に重心移動した時に体が倒れそうになったりとなかなか苦戦している印象でした。ですが、自分なりに男勝りのゆいちゃんを表現する演技を加えている方が多くいて、楽しく拝見させていただきました。
株式会社フレイムハーツ
今年も多くの作品を拝見出来て、それぞれ個性があり楽しく拝見しました。一連の動きの繋がりが一本調子になっているケースが目につきましたので、もっとシーンごとにメリハリ、タメを意識した方が自然に見えるかと思います。例えばジャンケン結果を認識して次の動作に移行するのが早すぎるように見えるケースがありました。子供の体験した方も多い遊びですので絵コンテやキャラ設定と、実際の体験も踏まえ再現を目指すのも良いかと思います。
株式会社MAPPA
作品数が多く、業界に興味を持ってくださる方が年々増えていることは非常に嬉しく思います。全体的に丁寧に作られているものが多く、真摯に課題内容に向き合っていることが伝わってきました。絵コンテの内容に合わせることは大事ですが、内容を合わせることと絵面を合わせることは少し異なります。「絵コンテの見た目に合わせなければならない」という気持ちが強すぎる作品も多く見られましたので、絵コンテから最低限ひろわなければならない要素を見極めて、キャラクター性を考慮した上で自身の解釈、オリジナリティを出していけると、観る側を楽しませられる良い意味で記憶に残るものが作れると思います。
モンスターズエッグ株式会社
今回も力作ぞろいで楽しく拝見させて頂きました。絵コンテと設定をしっかり読み込んで、女の子の性格や感情まで表現できているものが幾つもあり、大変すばらしかった。反対に設定を守っていないもの、納品形式を間違えているものは総じてクオリティが足りないものが多いので、まずは絵コンテと設定をよく読んで、イメージを膨らませるところから始めてほしいです。
株式会社YAMATOWORKS
ご応募ありがとうございます!演技を構成する際、自分なりに言語化するのも一つの方法です。例えば、●じゃんけんポン!→強気、勝負心、ぽん!が一番大きい動き。●よっしゃー!→勝利をかみしめる、歓喜、男性っぽいリアクションあり。●階段を上る→軽快、うれしい、楽しい、重力や体重移動を意識。●ピース→無邪気、若干憎たらしい、多少勝ち誇った感じ、さりげない可愛いらしさ
それらをミッション化し再現性を高めていくと、要素の重要性、優先順位がより見えてくると思います。
株式会社ランド・ホー
制作お疲れ様でした。今回は、動きのリズム感が取れているか、人の動きとして違和感がないか、そして何より女の子らしい動きを工夫して表現できているかを重視して確認させていただきました。指定がない中で、キャラ性を感じる工夫ができるかは重要だと思いますので、今後もこだわりをもって制作を頑張ってください。
株式会社リズ
想像だけで作ってしまっている方が多い印象でした。また、絵コンテの指示から外れた演技を付けている方も多い印象で、「こんなオリジナルの演技を付け足した」というのは評価としては逆効果です。指示された演技が違和感なく丁寧に作られているか、が評価のポイントになるのでその辺りをぜひ意識して頂きたいと思います。