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2023/4/28更新

  

今回は、昨年度の試験で合格率100%、受験者全員合格という優秀な成績で文部科学大臣賞企業部門を受賞したキヤノンイメージングシステムズ株式会社を訪問し、受験に至った経緯や18名全員が合格した学習法とその秘訣について、大島透氏(経営管理本部 人事部 人事第二課長)、平田毅氏(第一開発本部 第三開発部 開発32課 プロジェクトマネージャー)、戸松智典氏(開発本部 第二開発部 開発41課 プロジェクトマネージャー)にお伺いしました。

左から大島透氏、平田毅氏、戸松智典氏

ー キヤノンイメージングシステムズ株式会社はどのような会社かを教えてください。

大島透氏(以下、大島):1990年に新潟の地で生まれた会社で、現在500名以上の社員が在籍し「イメージングテクノロジー(映像技術)」を礎に、数多くのキヤノン製品のソフトウェア開発に携わっています。設計から品質保証までの一貫した開発体制を特長としておりまして、特にソフトウェア開発に注力し、クラウドシステムや産業用ネットワークシステム構築、社内インフラ基盤構築など、幅広くソフトウェアを提供しています。また、品質保証サービスも提供し、不正アクセス対策や、クライアント製品の脆弱性診断などのサービス等も提供しています。

ー 今回CG-ARTS検定を受験することになったきっかけを教えてください。

平田毅氏(以下、平田):社内の中期計画習得技術を考える中で、今後の進展としてXRに力をいれたいと日頃から感じていました。そこでどういった教育をすると、社員の糧になるかを検討していたときに、私が以前受験したことのあったCG-ARTSの検定を思い出したんです。当時はCG試験と呼ばれていて3級から1級がありました。私は当時のCG部門と画像処理部門の2級を取得していました。その時に体系的に網羅された学習内容だった記憶がありましたので、まずはCGエンジニア検定のテキストブック「コンピュータグラフィックス」「ビジュアル情報処理」を取り寄せました。書籍を見て検定を目標にこれらを一通り学ぶことがメンバーのスキルアップにつながると実感しました。メンバーには数学的な素養があるので、相性も良いと思いました。

戸松智典氏(以下、戸松):平田さんから本をみせてもらい、これはお客様とのやりとりのなかで活かされる用語がたくさんあるなと感じましたね。

ー 今回は18名が受験されて全員が合格されたわけですが、その学習方法を教えてください。

平田:昨年の5月から7か月間、月2回各1時間の勉強会を開催して学習をサポートしました。はじめはベーシック、9月からはエキスパートに取り組みました。どうやって学習会を進めるとより学習深度が深まるかを悩みまして、より参加者意識を高めたいという狙いから、ひとりひとりに先生をやってもらうことにしました。参加者にはテキストブックと問題集を渡し、問題集のなかから勉強会までに解いておく問題を宿題にしました。
先生役の社員は、問題集にある解答の解説を読んで、さらにわかりやすく解説を足してPPTに展開してもらいました。書籍では紙面が限られており解説も限られているので、それを補間して詳細な解説をつくって紹介してもらうことで、みんなの理解を深めるということをしたわけです。そうすることで表層的な部分だけでなく意図や仕組みを理解して解答を理解することができます。

戸松:参加者には、問題を事前に解いてもらいアンケートフォームを使って解答の正誤を集計し、誤答の多いものについてはさらに解説するという方法も良かったと思います。

ー とても興味深い内容ですね。問題集をベースに学習を進めたわけですね。勉強会には全員が参加されていたんでしょうか。

戸松:はい、テキストブックはかなりボリュームがありますので、勉強会では問題集を解いていく中で分からないところをテキストブックを読んで理解を深めるという補間する形で勉強していきました。勉強会に積極的に参加していくことがおのずと受験のための勉強となりました。

大島:参加者についてですが、中期計画として実施したので、メンバーはいろんな部署から募り、ワーキンググループという形で就業時間内に行いました。業務上参加できない場合以外は全員が参加していました。他部署メンバーとの交流、横連携という視点でもとても良かったと感じています。

ー 合否結果が発表されたときの感想はいかがでしたでしょうか。また合格後の変化や今後の活用などについて教えてください。

平田:正直驚きました!しっかり勉強したという自信はあったのですが、全員合格!しかもほとんどSランク(最上位ランク)だったことに驚きました。

大島:文部科学省の受賞については、日経のWebにもニュースとして掲載していただきました。参加者の自信とモチベーションアップに繋がったと思います。

戸松:試験当日は、久しぶりの試験会場での受験となり緊張しましたが、みんなの合格をきいてホッとしました。日頃の業務のなかでは、テキストブックがリファレンスとして役立っていて、疑問があるときに参考にしたりしています。

平田:今回参加者が学習を通して得たものを、今後の製品の開発のなかで活かしてもらいたいと思っています。そして新しいものを取り入れ、進んで学習する姿勢をこれからも続けてもらえたらと考えています。

ー 最後にこの分野を目指す学生の皆さんへのメッセージをお聞かせください。

平田:人間は、成功しても失敗しても経験値が手に入ります。 石橋を叩いて叩いて結局渡らない。それでは経験値ゼロです。 世の中のそんな風潮を払拭してくれる、ファーストペンギンになって欲しいです。 CG-ARTS検定を通して、様々なものづくりにチャレンジし、その成果を是非アピールしてください!

今回は、CGエンジニア検定が開発部門で活用されている場にお伺いし、実際の学習方法を知る貴重な機会をいただくことができました。これからも現場での活用の機会がさらに増えるよう、体系的で網羅的な基礎知識とともに、進化する技術に対応した更新が行えるよう取り組んで参りたいと思います。

今回取材にご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。

取材:CG-ARTS 松山浩司、篠原たかこ  テキスト・写真:篠原たかこ