受験者の声


村上 誠悟 さん
順位:2024年1位
総合点:91.5点/いいね数:32
受験当時の所属:富山大学 芸術文化学部芸術文化学科 3年
卒業年次:2026年3月卒業予定
※学校名および学年については、2024年受験当時の情報です。
試験を徹底的に研究し、キャラクターを深く解釈して独学で挑みました。
■まずは1位おめでとうございます!結果を知った時の感想を教えていただけますか?
ありがとうございます!10位以内に入ることを目標に腹をくくって挑んだのですが、まさか1位をいただけるとは…。結果を見た時はすごく驚きました。30分間ぐらい言葉も出なかったです。
■周りの反応はどうでしたか?
ちょうど家族が全員帰ってきているタイミングだったので、「1位だ」と言ったら、みんな集まってくれました。ちょうど晩御飯が鍋だったので、めでたい雰囲気になりました。
■大学ではどのような勉強をされていますか?
もともといろんな領域に興味があったので、建築であったり、町づくりであったり、絵画、彫刻など、教養の授業で幅広く学んで、自分の好きなところや向いているところを探しました。
■3DCGアニメーションを始められたきっかけは何だったんですか?
大学1年生の時にBlenderでモデリングをちょっとやっていました。でもチュートリアルの先にはあまり進まなかったので、そこまでの適性や興味はないのかなと思って一度置いておきました。EnterCraftさん(以下エンタクさん)の動画で「CGアニメーターという職種があるらしい」と知りました。試してみたら思ったより手応えがあり、そこから始まりました。アニメーションで行こうと思ったのが大学2年生の終わりごろだったので、専門学生の方と同じスタートラインに立つなら、いまから本気ではじめるしかない!と思いました。2年制の専門学校に行くような気持ちで切り替えました。
■独学で勉強されたとのことですが、この試験をどこで知りましたか?
エンタクさんのYoutube配信(※57:07)で、2022年のアニメーション実技試験で1位を取った波多野涼さん(pokiさん)が、ご自身のデモリールをエンタクさんに見てもらっていたのですが、その中にアニメーション実技試験の課題が入っていて、そこで「こんな試験があるんだ!」と知って、自分で調べました。
■アニメーション実技試験の課題に取りかかる前に、どのような準備をされましたか?
半年ぐらい前から試験を意識していて、試験に挑戦するからには上位を目指したいと思っていましたが、アニメーションを独学で初めて間もないころだったので、上位作品のクオリティに近づくために、まずはどういうステップを踏んでいくべきかを考えました。少しでも力を付けた状態で試験に臨みたかったので、課題が発表される直前に女性の歩行モーションを作りました。女性らしい動き、特に腰回りの強い動きや、プライマリーアニメーションの滑らかさにこだわりました。また、試験自体の調査も行いました。公式から出ている情報をできるだけ掘り下げました。具体的には上位陣の動画やインタビュー、評価企業のコメントが公開されているので、すべての年度に目を通しました。過去問もダウンロードできるので、少し動かしてみるところまでやりました。他には、運営の方が「試験の評価ポイント」を解説している動画もあったので参考にしました。
■今回の課題を見てどう思いましたか?
「難しそう!」と思いました。これまでは多くて3カットだったのに、今回は5カットと多かったので、最初はひるみました。でも、ヒロインの女の子が可愛かったので気合が入りました(笑)。絵コンテや設定資料にキャラクターの性格やシナリオが描いてあるのですが、キャラクターの解像度を上げるために、自身でキャラクターの家族設定などのバックグラウンドや、作品のテイストを考えたりもしました。
■どんな設定を考えたんですか?
家族構成は父、母、主人公のはるかちゃん、そして姉がいる設定にしました。この姉が奔放なんです。なので生来は天然なはるかちゃんが、カバーに回らなければいけないところがあって、「天然なのにしっかりした子」という深みが出てきて…、はるかちゃんの魅力はそこにあると考えました。漫画を読むのが大好きなので、キャラクター解釈をする癖がついていたのだと思います。
作品のテイストを考える上では、この試験は「実技試験」なので、実際にテレビアニメとして放映されることをイメージしました。公式から提供される情報は全部意味があると考えよく資料を見てみると「その後のシナリオ」も用意されていました。この中でお尻にペンキが付いた後、友達と笑いあってそのままショッピングに行っているので、これはコメディ作品だと考え、感情表現や体の動きをコメディ調にしました。
■徹底して情報収集と作品解釈をされていたんですね。実際の制作はどのように進めましたか?
まず3Dのビューポートでカメラの設定と構図を決めました。次にカットの秒数に合わせて切り替わるようにカメラをセッティングし、その切り替わるタイミングで音が鳴るようにプレミアプロで「音」をつけました。それをパソコンから目の前で流しながら、スマホで前と横からカメラを置いてリファレンスを撮りました。そして音に合わせて「今切り替わった!」というタイミングで演技をしました。
音のタイミングに合わせて演技するというアイディアは、昔、ダンスに近いことをやっていたので、その経験から思いつきました。
リファレンス動画と一部抜粋画像
■アニメーションをつける際に難しかったポイントや、こだわったところはありますか?
「ドカッと座る」というシーンが難しかったです。女性らしさを崩したくないと思っていたので、バランスをどうしようか悩みました。足をドガーンと開いてもいいけど、はるかちゃんならどんな動きをするんだろうと悩みました。結果的に足は開かずにぴょんと跳ね上がる形にしました。コンテの指示とキャラ解釈をすり合わせる作業が、芝居を選ぶときに難しかったです。また、「後ろを見ずに座る」というのも難しく、リファレンスを取るときも思い切って後ろを見ずに座れるようになるまで、実家の椅子を壊す覚悟で練習しました(笑)
■フィードバックシートの内容についてどう思いましたか?
カット1を褒めてくださった会社さんがあって、嬉しかったです。足元をずっとこだわっていたので。また、アニマさんからの直接コメントが一番参考になりました。「よし、1位だ」という気持ちでシートをスライドしたら、結構指摘されていて身が引き締まりました。あとは、カット4のカメラワークについて指摘されて「やってしまった」と思いました。カメラワークについてあまり勉強していなかったので、内容を見ると確かにその通りだなと思いました。私は独学だったので、こうしてフィードバックをいただける機会はあまりなく、企業からのコメントは本当に貴重で…。褒められるよりも指摘された方が成長できるので嬉しかったです。