受験者の声


小沼 大和 さん
順位:2024年9位
総合点:82.0点/いいね数:12
受験当時の所属:太田情報商科専門学校 デザイン学科3DCGコース 2年
就職先:株式会社タムソフト
※学校名および学年については、2024年受験当時の情報です。
楽しみながら挑んだ2度目の試験。リファレンス研究とスケジュール管理を入念に行いました!
■受験のきっかけは?
今回試験に挑戦しようと思ったのは、学校の先生が「CGアニメーターを目指す人は受験した方がいいよ!」とアナウンスがあったことがきっかけです。同じく試験に挑戦する同級生同士で、いくつかグループに分かれて、グループごとに切磋琢磨していました。私のグループは3人で、情報交換しながらお互いに刺激を受けて頑張りました。
■小沼さんは2023年にも受験されていますね。今回は2度目のチャレンジでしたが、いかがでしたか?
今回まさか9位に入れるとは思っていなかったので、自分でも驚いています!2023年の「じゃんけんグリコ」の時から比べると、かなり成長できたと実感しています。嬉しかったですね。
2023年度の動画
■試験の準備はどのように進めましたか?
課題発表前に、公式から出ている過去の上位作品や「受験者の声」、絵コンテなどの情報をとにかく集めました。特に受験者の声はとても参考になりましたね。どんなキャラが出題されて、どんな取り組み方がされているのかを徹底的に調べました。
■絵コンテはどうでしたか?
今年は5カットもあったので、びっくりしました(笑)。絵コンテを見ると、女の子が怒っている動作から、呆れて、座って、驚いて、がっかりするという、感情表現も過去に比べたら起伏が多かったので、「難しそうだな」と思いました。
■どのように制作を進めましたか?
まず私が最初に取り組んだのは、絵コンテの内容をもとに、自分で動いてリファレンス動画を撮ることでした。その後、それをもとにビデオコンテ(Vコンテ)も作成しました。
リファレンスを撮影する段階から、絵コンテに忠実になるよう、カメラの位置や画角、ショットの切り替えなどを意識して撮影しました。Vコンテの作成にはAfter Effectsを使用し、「タイムリマップ」という機能を活用して、尺間やタメツメを細かく調整しました。
こうして、絵コンテの意図に沿った動きや間をVコンテの時点でおおよそ決めてしまい、その内容をベースに本制作を進めていきました。タイムリマップ機能を使って、70%~80%ぐらいまで尺やタメツメを固めて、それをもとに仕上げていきました。
作業効率を上げるために、Mayaでタイムスライダをカット頭に移動できるよう、自分で簡単なスクリプトも書きました。これは各カットの微調整をする際に、パパっとカットを素速く切り替えられてかなり便利で、事前にこうした仕込みをすることで、あとあと助かりました。
小沼さんのMaya画面(タイムスライダ)
■提出前に、周囲からフィードバックをもらいましたか?
はい、一通り作れたら、先生にフィードバックをお願いして、それをもとに修正しました。基礎的な部分ではなく、キャラ解釈を基づく仕草とか演出に関してアドバイスいただいた場合には、先生の意見も取り入れながら、自分自身で納得するような演出を作っていきました。あと、演出面とか構図とかに関して得意な友人がいたので、その友人からもフィードバックもらいました。
■苦戦したポイントはありますか?
カット数が多かったので、尺の配分にはかなり悩みました。各動作をどのフレームに入れるかを細かく考える必要があって、たとえば1フレーム短いだけでも日常動作っぽく見えなくなってしまうことがあったので、自然な動きになるような尺の調整がとても難しかったです。
特に苦戦したのは、4カット目の「手のひらを見てから、“ペンキ注意”にカメラが切り替わるところ」のタイミングです。主人公の女の子の動作をどこまで映すか、そしてカメラがアップになった後、「ペンキ注意」の文字を何秒映すか…細かい尺間の調整に一番悩まされました。
■去年の経験は活かされましたか?
昨年のフィードバックシートを参考に、特に「仕様」「カメラワーク」の項目は「ここで満点を取らなければ話にならない」と思い、絶対にミスのないよう徹底しました。実は昨年、仕様の一部を勘違いしていた反省があったので、今回は同じことを繰り返さないよう、細かい部分まで慎重に確認しました。
実際、仕様は満点を取ることができたので、しっかり対策してよかったです。仕様のミスは現場の仕事でも許されないものですし、試験でも1点の差が順位に大きく影響するので、こだわって取り組みました。
■前回との反省点や、今回に活かした学びはありますか?
冬休みに、どれだけ自分に厳しくできるか、そしてどれだけ楽しんで制作に取り組めるかが、上位との差だと感じました。制作もリファレンス撮影も、今回は楽しんでやっていました。
前回もリファレンスは撮ったんですけど、その時は友だちに動いてもらってたんです。今回はちゃんと自分で動いてみたんですけど、自分でやってみないとわからないことが本当に多かったです。
制作時間が48時間ある中で、その半分以上をリファレンスの研究に使いました。たとえば倒れる動きひとつにしても、先生から「この勢いで膝ついたら膝の皿割れちゃうかも」とアドバイスいただいたら、自然に見えるようにリファレンスを観察し直しました。
あと、作業のスケジュールもしっかり切って、1週間ごとに各工程を終わらせるようにしました。提出の2日前には完成させて、ちゃんと見直しができる状態にしました。ギリギリに完成しすると、見落としやミスに気づけない可能性があると思うので、余裕を持つことも重要です。
■就活のことを教えてください
校内説明会でタムソフトさんがいらっしゃったのをきっかけに、自分でも会社のことを調べてみると、アクション系でやりたい表現が多くて興味を持ちました。5月に就活スタートして、6月にタムソフトさんから内定をいただきました。アニメーターとして4月から働く予定です。あっという間に就活は終わりましたが、希望していたゲーム業界に決まり嬉しいです!
私はもともと3年制だったのですが、2年生で内定をもらえたので、早く現場に出たいという気持ちから2年制に切り替えて、この3月で卒業することを決めました。太田情報専門学校は3年制から2年制に途中で変えることができる珍しい制度があるんです。
■就活のスタートが早かったと思いますが、早めにスタートしてどうでしたか?
早めに就活をスタートするメリットはかなり大きいと思いました。就活を始めた5月時点では、まだ十分納得のいくポートフォリオではなかったのですが、「えいや!」という気持ちで思い切って応募しました。満足いくまでポートフォリオを出さない就活生も多いと思いますが、早めに動くことで、もしダメでも反省を活かしてどんどん作品をブラッシュアップすることができます。
アニ実の課題をポートフォリオに掲載いただきました。