
CG-ARTS アニメーション実技試験2022
第4回目となる「CG-ARTSアニメーション実技試験2022」では、276名の課題提出がありました。
試験にご参加いただき、ありがとうございました。

CGアニメーションを学習されている方や指導者向けに、試験で使用したCGデータ各種を公開しております。
ダウンロードを希望される方は、フォームから申請してください。
含まれるデータ:
1. 絵コンテ(PDF)
2. 3DCGデータ:キャラクタモデル、背景モデル(MAYA, 3DSMAX, Blender)
3. タイムコード用データ(AfterEffect)
4. 作打ちビデオ


アニメーション | ・12秒 |
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モデルデータ | ・モデルデータは、原則、提供された3DCGデータを使用してください。 |
動画サイズ | 1280×720(16:9) |
FPS | 24fps |
フォーマット | MPEG4(H.264形式) |
ファイルサイズ | 20MB以下 |

採点
基礎評価(50点満点)+企業評価(50点満点)=総合評価(100点満点)で採点しました。
基礎評価とは? | 「基礎評価基準(81項目)」に基づく採点です。120点満点で採点を行い50点満点に換算して総合点を算出しています。 |
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企業評価とは? | 評価企業6社それぞれの「新卒採用レベル」を基準とした採点です。6社*5点=30点満点で採点を行い50点満点に換算して総合点を算出しています。 |
「いいね!」企業評価
CG-ARTS賛助会員企業の中からいいね!評価企業として28社が参加しています。各社の担当が全ての課題に目を通し、お気に入りの課題に「いいね!」マークをつけました。どんな企業から評価されたのか?ぜひ参考にしてください。

採点企業6社からの、今回の試験への総評をご紹介します。
アニメーションの12原則、人の動き、物理的な動きを表現できていないにせよ知識として持っていて「表現しようとしているか」を踏まえて評価させて頂きました。やりたいことはわかるけど体の動きで表現しきれていない、という作品が多い印象を受けました。ボディメカニクスの理解、重さの表現、動きの緩急、重心への意識、指の形状では細かい演技への意識や、レイアウト、カメラワークで演出として何を見せたいか、表現したいか絵コンテやキャラ性もしっかり考えましょう。ちなみに主人公の女の子の性格、名前をパッと思い出せますか?絵コンテにある動きの流れを追ってるだけになっていませんか?今回弊社は「動き」を主軸に評価しましたが、仕事ではキャラ性を演技で明確に見せたり、キャラの感情表現も大事になります。まずはアニメーションの基礎を身に着け、魅力的なキャラ表現、感情移入できるキャラを作れるよう頑張っていきましょう。
絵コンテや参考動画を元に、体の動きはある程度出来ていましたが、そこに感情表現のお芝居が追いついていない人が多かった印象でした。降りる駅に気づいた時の驚き、ドアがしまってしまったことへの戸惑い、電車が発車してしまった時の憤り、そして悲しみ。これをフェイシャルのお芝居が無く、体の動きだけでどう見ている人に伝えるか、そこが今回の大きなポイントだったと思います。細かな仕草、リアクションのメリハリ、カメラワークなど、フェイシャル以外の要素を最大限に使って、どこまで感情表現を出来たかどうかが高評価の大きな壁でした。まずは基本的な人間の動き、そして絵コンテや課題の指示に合わせたカット作りなど、基本をしっかり固めた上で、喜怒哀楽をフェイシャル無しでどう表現すれば見ている人に伝わるかを意識して頂ければと思います。そしてさらに、「そこにフェイシャルのお芝居を付けたら」という課題を超えたところまで考えて実践していければさらに皆さんの力になると思いますので、基本から一つ一つ段階を踏んで、課題のクリアや技術の向上を目指して頂ければ幸いです。
全体的に、納品の仕様に対してのミスや納品基準に達していない作品が多く、せっかくアニメーションが良くても減点せざるを得ない作品もありました。プロの現場では納品基準を満たしていないモノはクライアント等から突き返されることがあるので、クリエイティブの良し悪し以前に仕様をしっかり守ってほしいと思います。
アニメーション実技試験も回数を重ねて、「コンテに準拠して映像を作る」という縛りがある認識が浸透してきたように感じます。今回は、より細かくキャラクター性をプロフィールに書かれ、「キャラクターへの読解と創造性」が試される課題になりました。点数評価の部分では、プロとして働いている新人スタッフでも1TAKE目で5を獲得できる人は中々いるものではありません。簡単な課題ではレベルの差を評価しずらいので、それくらい難易度の高い課題に皆さんは挑戦されました。総評としては、学校の中でアニメーションの傾向が似ることが見受けられました。それは指導の力なのか、クラスメイトを参考にされているのか、評価者にはわかりませんが、他人と自分を見比べていくことは成長を早めると考えます。今回上位成績者は素晴らしいアニメーションを提出してくれています。これらを芝居のアイデアとして参考にして、学校間を超えてより次回のアニメーション実技試験のレベルが向上することを期待しております。
今回の課題では3点以上の仕上がりが20%くらいいたので、年々良くなっている印象を受けました。全体的にリファレンスも用意している感じがしたので、作業前準備の問題点も解消されつつあるのかなと思いました。しかし個性を出そうとしすぎて難しい演技を入れる作品もあり、難易度が上がりすぎてクオリティーが追いつかないといった問題も起こっていました。人とは違うものといった気持ちもわからなくないですが、まずは無理をせずベーシックな動きで作っていきましょう。他は作り込みがあまく、時間をかけず途中で諦めてしまったような印象を受けたので、作業に費やした時間の何倍も時間をかけて、まずは完成させることを念頭に作ることが大事です。学生であれば製作期間に1ヶ月位費やしても構わないと思います。これが仕事になると途中で諦めるという選択肢はないので、今のうちから完成させるという強い意識は持っておくことは大事なので頑張ってください。
全体としては、人数が増えたためか、上手な子も例年よりは少し増えた印象がありました。ただ、まだまだアニメーションへの意識が低く、やってみただけ、やらされてる、だけの子もかなり多かった印象です。基本的に、学生さんに向けての全体コメントは去年と変わらずかな、といった印象でした。自然な動きに対する研究と観察が甘く、想像だけでアニメーションしてる人が多い印象でした。アニメーションはキャラに命を吹き込む。と良く言われますが、まずは自然な人体動作のアニメーションをつける技術がありその上にキャラクターの性格や演出意図、芝居を盛り込んでアニメーションとして完成します。まだまだアニメーションを付ける基本技術が足りてない人が、ほとんどだった印象です。今回の課題は日常演技で、参考となるリファレンスや資料はいくらでも用意できると思います。自分で演技したり人の動きを観察したり想像だけで動かすのではなく、まずはしっかり観察し、自分の付けたアニメーションの違和感に気づき修正していく。自分の中での確認(セルフチェック)を徹底して頑張ってみてください。

いいね!企業からの、今回の試験への総評をご紹介します。
株式会社アールフォース・エンターテインメント
イイね!を付ける対象者の方々を選ぶために、唸り声を上げて嬉しい悩みが発生です。前年より全体的にレベルアップしており、非常に楽しく拝見させていただきました。今回は、カット割りがあり、切り替えのタイミングなど苦労されていましたね。そして、毎度のコンテ頼りが多く、状況や時代にあった演技にする事が今後も課題点だと感じました。とはいえ、日常の動きからアニメーションへの昇華に努力の跡を感じれて良かったです。次回も楽しみにしております。
株式会社アグニ・フレア
それぞれの作品に個性があり楽しく拝見できました。感情を動きで表現するのは難しいですが、登場人物の設定に加え、細かい性格や背景を掘り下げて考えることでより現実味のある豊かな表現ができると思います。大きな作品制作に参加する際には、他人の書いた絵コンテの意図を正しく読み取ることはとても重要で、今回は多くの参加者がそれを実行し課題を完成させている事を素晴らしく感じました。
exsa株式会社
試験を受けた方はアニメーターとして良い判断をしたと思います。それは実際の仕事で良いものを作るために必要なプロセスを把握できるからです。もし今回納得できない作品だった場合は、準備か技術力の不足が原因と考えられます。準備不足については、PCを触る前のプランニング工程を大切にしてください。技術不足については、上位者から学ぶことが多いと思うので発表後に振り返ってみてください。皆でいいものを作りましょう。(アニメーションディレクタ有沢)
ヴォクセル株式会社
今回も楽しく拝見しました、ありがとうございます。コンテに描かれていないようなプラスアルファのアイディアは他者との差別化にもなりアピールポイントにもなるので、積極的にトライして欲しいと思います。設定・演出意図の理解や重心移動などの基本を踏まえた上で遊び心もとても大事だと思います。走りモーション単体では皆さん何度も練習していると思いますが、一連の動作の中でまた限られた条件下での走りという事で、改めてその難しさに気付いたのではないでしょうか。クレーンアップやQTUについてはその意図も含め理解していない人が意外と多いという印象です。カメラモーションについても是非理解を深めて欲しいと思います。
株式会社ENGI
一か月間の課題制作期間で時間をどのように使えたかにより、結果に差が出たのではないかなと思います。基礎的な人物の動きが正しく出来ている事は当然判断されますが、登場人物の感情の遷移『リラックス>気付き>慌て>落胆』の流れを、上手く表現出来ていた作品が高く評価されました。気持ちの良いアニメーション表現の為に、より多くのリファレンスを自分の中にインストールしておけると、制作の際に力になります。
株式会社グラフィニカ
いいね!をするのに時間がかかるほどそれぞれの作品に面白味があり、楽しく拝見することができました。キャラ設定や視聴者を意識した絵作りをされている方が多く、「違い」を出そうとされていたのが非常に好印象です。それと同時に動きのメリハリの無さや不自然なテンポ・演技の作品もございましたので、自分自身が視聴者の身になって今一度自分の作品を振り返って頂けると、さらに成長もできるかと思います。今後クリエイターとしてさらに成長して頂くためにも今の自分に満足せず「こだわり」をもって作品制作をされてみてください。
株式会社クレッセント
前回に較べて全体的にクオリティが向上したと思います。演出に細かい仕草を入れているものもあったり、最初の立ち方一つでも個性があって面白く感じました。殆どの人が絵コンテに合わせて忠実に再現しようと頑張っているのがわかりましたが、モーションの速さなどで違和感の残る作品が多かった印象です。折角ここまでのものを制作しているので、プレビズまでいかなくとも携帯等で一連の動きを撮影して参考にするなど精度を上げたらもっと良かったかと思いました。
株式会社サイバーエージェント
皆さんの作品を拝見することができて、刺激を受けながら審査をさせて頂きました。自分自身の作品を相手に伝える機会はとても貴重です。この機会に自ら挑戦している皆さんは大変素晴らしいと思います。CyberHuman Productionsはフォトリアルな作品を主軸に制作しているクリエイター集団です。今後アーティストとして活躍されていくであろう皆様とお仕事をご一緒できることを楽しみにしています。
株式会社サブリメイション
基本的にみんなが見てる動きが意識的に組み込まれてる絵コンテでしたので、そういった誰もが違和感を持つ動きをリファレンスをとるなどしっかり研究しているかどうかの違いは大きいように感じました。その中でも上記に加え作打ちビデオを踏まえてキャラクターに合った細かい演技等のモーションをつけている方にいいねをつけさせていただきました。(コメント:黒﨑)
株式会社ジェットスタジオ
皆様お疲れ様でした!コンテに合わせて一連の作業を最後までやりきったという経験は今後の仕事にもいかせる貴重な体験だったかと思います。是非これからもモーションの探求だけに留まらず映像作品としての見栄えも追及してみてください。キャラ性は表現できたか、レイアウト、カメラのレンズは適切だったかも改めて見直してみるとまた新しい発見や課題、楽しさが見えてくると思います!皆様の今後のご活躍を楽しみにしております!
ジェムドロップ株式会社
カット1はノリノリでいいなと感じるものの、カット2以降で急に燃え尽きたような印象が多い傾向でした。全体の要素が埋まったら時間をかけないと整いづらい部分から着手してみると良いかもしれません。モデルのカッコイイ雰囲気に引っ張られてか、ルカちゃんっぽさがブレてしまっていたりドア壊れちゃいそうなぐらい叩くのが気になる傾向もありました。ボイスやSEを脳内再生であててみると違和感が見えてくるのでお勧めです。
株式会社白組
担当:株式会社白組 代表取締役 小川洋一
コンテは一見するとシンプルだが、アクションだけで感情の変化を的確に表現するのはかなり難易度が高いと思う。特に、急いで降車側のドアに駆け寄りぶつかるところのアクションがポイントになるが、楽しげな感じから慌てて逆側のドアに向かう動きで人物の足がすべっていたり、ドアにぶつかった反動にも重さを感じないものが多かった。それらを踏まえてキャラクターの動きにリアリティを感じた作品をチョイスした。
株式会社StudioGOONEYS
270を超えるたくさんの作品を見させていただき、絵コンテに書かれていない演技を取り入れ、視聴者を意識した絵作りができている方が多い印象を受けました。レイアウト・アニメーションは、オーディエンスへ向けたサービスが大事です。心を動かすために必要な要素は絵コンテのその先にあったりするので、よーく考え、取捨選択をして、心を動かす作品を世の中に届ける1人となってください。
株式会社スタジオワンオアエイト
モデルの演技、感情、ストーリー性が感じられ、こだわりの強い作品が多くこちらも刺激を頂きました。コンテからの情報の受け取り方が様々でコンテの内容をちゃんと拾えているのに、テンポ感や、演技が不自然な方はおしいと感じました。こだわりの強い作品の特徴として、手の指やかかとなどの末端にも感情をもたせたり、立ち姿やしぐさでモデルの背景を考えられるものがあり、モーションに限らずこのこだわりは全ての製作において大切なことだと思います。なので出来ている方も、そうでない方も、想像の中だけで作るのではなく実際に動き、観て、誇張し、削っていき、その中で妄想をし、自分の強いこだわりを作品にぶつけてみてください。
株式会社バンダイナムコフィルムワークス
課題はシンプルな日常の一コマかもしれませんが、動きを整理したときに例えば、振り向く/気づく/走り出すなど、各要素の動きをどれだけ自然、且つデフォルメを加味してアニメーション付けできるのかがポイントになります。カット全体のアクションリズムを考えながら、今後もいいアニメーションになるよう磨き続けていってください。
株式会社フレイム
全体的にキャラクターの性格や女性らしさを表現することが出来ていなかった印象です。自然な動きを表現することはもちろんですが、CGのキャラクターに人間味を持たせるのはどんなキャラクターなのかを意識することが大切です。リファレンス動画を自分で撮影したり、アニメなどを参考にするともっと良くなりますので頑張っていきましょう。
株式会社フレイムハーツ
各作品、個性があり楽しく拝見しました。以下を特に評価指標としました。シーン1 スマホから窓へ視点を移し走り出す流れが、一本調子ではなく動きにメリハリを入れているか/シーン2 如何に自然な走りになっているか/全体 キャラクターの性格を仕草、動きで想像できるか走るシーンは皆さん苦労されていた印象で、大きな評価ポイントの一つになりました。現実の類似動作を参考にデフォルメしつつもリアルに見せる工夫をしてください。
株式会社MAPPA
作品数が多く、とても見応えがありました。今回は下記の3点で評価しました。
・動きに不自然な間や硬さがないか
・動きにキャラクターの感情を感じるか
・カメラワークやカット割りが視聴者の視線と連動しているか
フルコマが基本になっていますが、日本アニメ的なリミテッドのコマ打ちやフォルムの変化も勉強してもらえると嬉しいです。
株式会社ModelingCafe/AnimationCafe
「2カット目を見たくなるか」という基準で審査させて頂きました。TikTokのようなショート動画が増えた現代では、視聴をスキップされることが当たり前となり、多くのコンテンツがひしめく中でいかに「次の数秒を見せるか」という秒単位のクオリティコントロールが非常に重要になってきていると感じます。そんな中、今年は細かい演出にまで拘った作品が多く、工夫ポイントを見つける度に楽しんで作っている様子が伝わってきて、私もとても楽しませて頂きました。
モンスターズエッグ株式会社
設定をよく読んでキャラ感まで表現しようとされている方が多く、楽しく拝見させていただきました。 仕様を守っている方がクオリティもしっかりしている割合が多かったですね。プロになる前に、お題(コンテ・設定・仕様)を読み込む力をしっかり鍛えてください!業界へのご応募、お待ちしております。
株式会社YAMATOWORKS
YAMATOWORKSでアニメーションディレクターをしてます、坂本です。今回の課題の評価ポイントとしましては、絵コンテの指示を忠実に再現できているか、キャラクターアニメーションがリアルに表現できているか、作業スピードを意識して時間をかけすぎていないかという基準で評価させていただきました。言い方を変えると、この3点の基準に達していないとふるいにかけられるもしくは見てもらえない場合があるということです。アニメーションの観点でいうと、この方はちゃんとリファレンスをとって動きを分析しようとしているな、もしくはなにか伝えようとしているなと思う方を評価させていただきました。皆様、ご応募ありがとうございました!
株式会社リズ
今回の演技内容が強弱あるドラマ性を持っているため、それを理解して楽しんで作ってくれた方が多かった印象です。その中でも「自然なポーズ」「自然な尺の強弱」を意識してくれた方が多くて好印象でした。ただ作り続けていくと、それなりに仕上がってきて満足しがちになるので、定期的に絵コンテを見直して絵コンテの意図通りに作られているか、何度も再確認することを心掛けてほしいと思います。

企業評価・基礎評価の採点分布状況を確認頂けます。
総合点(100点満点)
※企業点、基礎点をそれぞれ50点満点に換算してます

基礎評価(120点満点)

基礎点分布(各項目)

企業評価(30点満点)

企業点合計(6社×5点=30点満点)
