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今回もこれまでと同様に、静止画部門・動画部門・インタラクティブ部門の3部門で募集しました。これに対して静止画部門1,349作品、動画部門238作品、インタラクティブ部門119作品の合計1,706作品の応募がありました。この数字は前年に比べて、128%の増加となっています。
応募の75%は専門学校生からのもので、これは例年と同じ傾向ですが、今回特筆すべき点は高校生以下の応募が全体の8.5%に達したことです。そのなかには中学生以下の応募が静止画部門だけですが12作品あり、小学生からの応募も含まれていました。
応募者層が低年齢者層に拡大している状況は、驚くべきことであると同時に喜ばしいことです。コンピュータが今や特別な装置ではなく、ごく一般的なものになっていると言えるでしょう。
審査は第一次審査と最終審査の2回に分け、第一次審査は審査委員が分担する形で部門毎に、最終審査は全員で行いました。いずれの審査会においても、公正な審査を行うために作者の学校名・所属・氏名は伏せ、作品を中心に、製作意図やコンセプト、プロセス等などを審査の判断材料としながら、第一次審査において応募数の約1割にあたる静止画45作品、動画20作品、インタラクティブ17作品が選ばれました。
最終審査でも公正性を保つための方法として、審査員が指導教員である場合の作品・作者は採点を棄権し、合計を評点者数で割った平均点の高い順としました。こうして、受賞作品が選ばれたわけですが、応募数から考えるとたいへんな難関の突破だといえます。受賞者の皆さん、おめでとうございます。
今回の作品の特徴は、応募作品から入選作品を通して、表現・制作方法が多様化しているという点にあります。CGに関わるデジタル機器の普及が進み、ストイックなCG制作法を採らなくても、作品を制作できるようになったことがその一因だと思われます。その結果、表現の幅が広がったことはすばらしいことと言えるでしょう。この状況が続けば、CGという冠が不要になる日は遠くないと感じます。
部門毎にみますと、静止画部門では、2D・3D、具象・抽象と表現は例年になく多彩ですし、制作方法もプログラムによる制作、画像処理的方法と市販のツールに頼らないものが増えています。こうした多様な表現が提案されていること自体はすばらしいことなのですが、作品の制作目的がファインアートには少し弱いし、デザインには意味不明と少しあいまいな気がします。
動画部門では、クレイアニメーションによる作品がプログラムベースの作品と大接戦を演じ、最優秀賞を獲得しました。このことでわかるようにこの部門も表現の幅が広がってきています。これらの作品を動画という一括りで審査するのはだんだん難しくなってきていると感じました。
インタラティブ部門では、Web,ゲーム、インスタレーションとさらに多様化して、動画部門以上に判断が難しくなっています。この部門の特徴はプログラムベースの作品が多いことで、それだけに作者の意図が明確になり、独創性が発揮されて見ごたえのある作品が多かったといえます。
U-18部門では静止画部門の須藤健斗君が「ZUNNIRA WORLD」で受賞しました。須藤君は小学6年生で、これまでの最年少受賞者である中学生3年生を抜いた、学生CGコンテスト史上初めての快挙です。今後の成長が期待されます。
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