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社会人になっても通用するための基礎体力づくり

ー 今回の受験体験を通して良かったこと思ったこと、得たものなどがあれば教えてください。

千葉:プログラマーだったので専門知識はあるのですが、改めて今回受験したマルチメディア検定を通して、IT分野を幅広く勉強できたことが良い機会だと思いました。また、休憩時間に勉強していたので、その姿をみていた学生達にも間接的に良い刺激になったと思います(笑)。

竹本:幅広い知識に触れられたのが一番の収穫だったと思います。こういう試験は学生を終えた後は運転免許くらいしかないじゃないですか。しかも、こういったいじわるなひっかけ問題を解く試験なんて!!

一同:(笑)

竹本:ゲームを作っていると、こういう機会には触れられないので楽しかったと思います。 もう1つ思ったことは、幅広く網羅されているからこそエンジニア、CGクリエイター、ゲームデザイナー、テストプレイヤーなど多くの職種で自分自身が知らなかった知識の存在に気づけるきっかけになると思います。

川村:学生が試験に臨むとき、どんな気持ちになるのか、どこでつまずくのか、ということに、学生の立場に立って改めて目を向けることができたのが良かったと思いました。うちの学校では1年生の後期にマルチメディア検定のベーシック、2年生の前期にマルチメディア検定のエキスパートを受験必須にしています。やはりITはIT、ゲームはゲームと括らないように、全般的な知識を勉強する機会を用意できているということは間違っていないと再確認できたことは良かったです。

磯野:僕は札幌に来れたことが一番良かったです(笑)。

一同:(笑)

磯野:というのは冗談ですが、マルチメディア検定は最初の印象とは違っていて、こんなに広くて深く、IT分野のトータルの知識を勉強できたことが1番収穫でした。それと、真剣に学校の先生と対決できたことは貴重な経験になりました。これまで以上に川村先生を尊敬するようになりましたが、次はリベンジします(笑)。最初、CGクリエイターを受験したときはギリギリのラインでしたが、だんだんと勉強のコツを掴んできて、短い学習時間で結果を出せるようになってきました。なんとなくテキストを読むことはなくなって、点数が取れるようなやり方を覚えていきました。満点までの壁は厚くて、ここがまた難しいところですが。みなさん、よかったら別の検定でもご一緒しましょう(笑)。

 

ー この業界を目指す方へのメッセージをお願いいたします。

川村:学校によって勉強できることの質、ジャンルが異なりますので、吉田学園さんともライバル関係ではありますが、それぞれ得意とする部分がありますのでこれからも共存できると思っています。学生の方へのメッセージですが、何も目標もない状態で勉強するのは辛いと思います。マラソンもゴールがあるから走り切れるのであって、検定試験への合格はその分野を勉強するためのわかりやすい目標になります。検定合格を目標にすること自体が将来的にゲームクリエイターを目指すための血肉になっていくものだとも思いますので、僕は検定試験を有益なものだと思っています。勉強したことは無駄になることはなく、社会人になっても勉強は続いていくので、コツコツと積み上げることが非常に大切だと思います。一生懸命勉強して自分の夢を叶えてほしいと思います。

竹本:デザイナー職だけでいうと、このカリキュラムがすべて必要か微妙なところですが、この知識を網羅していることで、企業で仕事をするという観点においては、すごく使いどころの広い有用な人材になれると思います。面接でこの検定の資格を持っている人や、受験を経験していると伝えてくれれば、他の人と比べた時の判断材料にできると思います。もちろん、これだけ勉強してもデザイナー、プログラマーとしてセンスがなかったらそれはいけませんが、これを勉強していることでデザイナーでもプログラマーでも有望な人材として期待できるので、どんどんチャレンジしてもいいと思います。

千葉:講師とゲーム業界の半々の立場からのメッセージですが、ゲーム業界に良い人材を送り出すということを大きな目標としています。プログラマーとしてプログラムの勉強だけをしていても、ゲームをつくれるプログラマーにはなれません。グラフィックも同じですし、広い知識を持っていた方が良いと思います。そういった意味では社会人への一歩として勉強するには価値のある検定だと思います。学生のうちから受験されるのをお勧めします。社会人になってから、時間のないなかで突然受験してもこの検定はなかなか合格できないと思いますから。

一同:その通りですね(笑)。

千葉:そして、社会人になってからも、さまざまなことにチャレンジできる人間をどこの会社も欲しがっていると思います。その手助けの1つがマルチメディア検定だと思います。CG-ARTS検定にはCGクリエイターとCGエンジニアがあるので、デザイナー寄りの検定の印象がありますが、それだけではないということをみなさんに知ってほしいです。

磯野:勉強を続けていくことって基礎体力をつくっていることと同じだと思うんです。作品を作って業界に入れるかどうかは、また別の情熱だと思います。まずは短期目標として検定に挑戦して、マルチメディアを基礎にしながら、CGエンジニアなど他の専門知識を勉強してもいいと思います。2つ検定を取るとマイスターの資格も取れるのでさらに箔がつきますしね。CG-ARTS検定の5科目を制覇した人がいたらほんとにすごい実力を持っている人だと判断できます。業界に進めるかどうかは、その人のモチベーション次第ではありますが、検定受験でも作品づくりでも継続し、そしてやり切ることが大事だと思います。


今回は初めて、業界へ人材を送り出す学校の教育者と、人材を選ぶ企業側という、産学それぞれの立場や視点を持つ方々同士での受験体験を取材することができました。学校の人材育成と、業界が求める人材像にマルチメディア検定は、その橋渡し的な位置づけとして貢献できることが確認できました。今回の取材を通してCG-ARTSに求められている課題についても真摯に受け止め、今後も混乱のない試験運用の改善、時代が求めるカリキュラム開発に取り組んでまいりたいと思います。

今回取材にご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。

会場協力:北海道情報専門学校
取材:CG-ARTS 篠原たかこ、黒川崇史 テキスト・写真:黒川崇史

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