SacriFish

タイトルの通り、金魚を犠牲にして、現代の閉塞感や繰り返される時間のおぞましさを炙りだした本作。作者の世の中を冷酷に見つめる視線と、それを表現するために人工物である金魚を用い、透明樹脂で凝固させ走らせる、という方法は見る人をギョッとさせるには十分なインパクトがあります。そのビジュアルのキワキワ感にばかり目が行きがちですが、作者から見た社会のヤバさを表現するために、コンセプトと表現手法がよく練られていながら、ムダに難解なものとすることなく、ストレートに胸を突き刺すような作品となっているように思います。その鋭さと威力に心惹かれました。
(武田俊)

鈴木 雄介
多摩美術大学
インスタレーション
作品掲載サイト