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Vol.28 学生のためのCEDEC「ゲームのお仕事 業界研究フェア」をレポートVol.2

CESA Developers Conference(CEDEC)は、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する、日本最大規模のゲーム開発者向けカンファレンスである。
11回目となる今回は、9月1日〜3日まで、パシフィコ横浜で開催された。コーエー、スクウェア・エニックス、セガ、バンダイナムコゲームスなどの大手パブリッシャーや、ディベロッパーのゲーム開発者が2,500名以上集まり、152のセッションが実施された。

CEDECは、これまでも学生向け料金を設定するなどして、ゲーム業界を目指す学生にも門戸を開いてきた。今年はその門戸をさらに大きく開き、学生のためのCEDECともいえる「ゲームのお仕事 業界研究フェア」を同時開催した。対象は主に高校、専門学校、高専、短大、大学、大学院、などの学生とされたが、現役の学生に限らず、ゲーム業界への転職を目指す第二新卒も含まれた。

開催のねらいは、ゲーム産業に興味をもってくれる人を増やし、産業の裾野を広げ、活性化を促すことにあったようだ。3日間で基調講演を合わせると36ものセッションが実施された。セッション内容は、さまざまなゲームのお仕事を紹介するもの、具体的な就職方法を紹介するもの、ゲーム市場の現状と未来予想を紹介するものなど、多種多様だった。
また、企業の人事担当者に直接会って質問できる「ジョブカフェ」も開かれた。経済産業省の支援を受けることで、入場無料となったことも追風となってか、1,000名以上の学生が来場したと思われる。なかには九州から来場した学生もいたらしく、連日、ゲーム業界への就職を希望する、多くの学生たちで賑わった。


セッション『3DCGデザインのお仕事 課題と可能性について』を紹介

今回のディジタル最前線は「ゲームのお仕事 業界研究フェア」を、2回に分けてレポートする。1回目は、株式会社プレミアムエージェンシー 代表取締役社長の山路和紀氏、株式会社リズ 代表取締役社長の磯野貴志氏、CG-ARTS協会 教育事業部企画制作グループの尾形美幸が共同で行ったセッション『3DCGデザインのお仕事 課題と可能性について』の内容を紹介する。


スキルアップの具体的な方法や、採用時のポイント

セッションでは始めに、山路氏と磯野氏がゲーム制作における3DCGデザイナーの仕事内容について紹介した。山路氏は,セガやマイクロソフトでゲームのプロデュースに携わった後、プレミアムエージェンシーを設立した。
磯野氏は、セガでデザイナーやディレクターを経験した後、リズを設立した。両氏とも、大手ゲーム会社で開発に従事した後、起業し、経営者として採用や人材育成を行ってきた経験の持ち主のため、話はデザイナーの仕事内容の紹介だけには留まらず、スキルアップの具体的な方法や、採用時のポイントなどにも及んだ。
スキルアップの具体的な方法について、磯野氏は「モデリング、つまり形を作る作業は、1年ぐらい仕事をすれば、誰でもできるようになる場合が多い。しかし、マテリアル(質感)の設定や、アニメーション、ライティングなどは、センスの有無によって仕上がりが大きく変わるため、誰でもできる仕事ではない。センスを磨くためには、まずは対象をよく観察して、マネをするのが効果的だ」と語った。


山路氏は「観察する際には、対象の形だけではなく、その質感にも注目して欲しい。私は、たとえば本物の人間を見た場合に、それが本物だと感じる理由は何処にあるのかを考えるようにしている。対象がリアルに見える理由は、光の当たり方、映りこみ具合、影の落ち方などにある。そこをよく観察して、表現に活かして欲しい」と語った。


ゲームの3DCGの制作工程を順番に紹介しながら、磯野氏はとくにライティングの重要性を強調した。「この会場にライティングができる人がいるなら、今すぐ持って帰りたい。残念ながら、ライティングは三灯照明などの基礎理論をしっかり勉強しなければ、理解できない。現役のデザイナーでも、理解できていない人は多いので、時間のある学生のうちに、勉強しておくことを勧めたい」と語った。さらに「就職時のポートフィリオで、リアルなキャラクタをたくさんモデリングして勝負するよりも、1つのキャラクタと背景に対して、さまざまなライティングを試したものを見せた方が、採用担当者の目に止まるかもしれない」と、就職時のコツについても言及した。

    

両氏は共に、3DCGを学ぶ学生はゲーム業界に就職して、モデリング、とりわけキャラクタモデリングをやりたがる人が圧倒的に多いと語った。セッションに参加した学生に聞いてみたところ、約半数からモデリング志望との答えが返ってきた。
最後に山路氏は「モデリング以外にも、アニメーションやカメラワークなど、さまざまな仕事がある。希望者が多いモデリングではなく、ほかの職種を目指した方が、業界就職の可能性が高まるかもしれない」という話で締めくくった。

    



最新CGクリエイター検定からみた、学生の基礎知識の修得度

続いて、CG-ARTS協会の尾形が、最新のCGクリエイター検定2級からみた、学生(受験者)の基礎知識の修得度について紹介した。CGクリエイター検定は、制作に必要な知識や問題解決能力を客観的に測れる試験で、制作現場のプロが作成した問題にチャレンジできる。モデリング、アニメーション、ライティングなど、3DCG制作全般にわたる体系的な知識が確認できるのに加えて、写真や動画の撮影、編集など、映像制作の基本も確認できる。また、特定のソフトウェアに偏らない、普遍的な知識が確認できる。セッションでは、7月12日に実施した最新の検定試験から「モデリング」「マテリアル」「レンダリング」「合成」に関する4つの問題をピックアップし、その内容に加えて、正答率や受験者傾向も紹介した。

   

尾形は「モデリング問題では77%だった正答率が、マテリアル問題では50%、レンダリング問題では37%、合成問題では29%にまで下がってしまう。制作工程の後半になるほど、正答率が下がる傾向にある。つまり、制作工程の後半ほど、知識不足、経験不足になっている受験者が多いと考えられる。この傾向は、CGクリエイター検定がスタートした5年前から続いており、専門学校や大学の先生にも、同様の傾向を実感している方々が多くいるようだ」と紹介した。

さらにまとめとして「質の高い仕事、効率的な仕事、創造的な仕事をするためには、その仕事を縁の下で支える、基礎知識という土台が必須だ。デザインセンスや、ソフトウェアの操作スキルを磨くのと合わせて、幅広い分野にわたる、体系的な基礎知識の修得も心がけて欲しい。そのための勉強ツールとして、CG-ARTS協会の教科書『ディジタル映像表現』や『入門CGデザイン』を有効活用して欲しい。また、知識修得度の確認のために、CGクリエイター検定も活用して欲しい」と語った。


幅広い分野にわたる、知識修得の重要性

最後に山路氏は「写真の露出のしくみなど、私自身、何となくわかったつもりになっていたことを『ディジタル映像表現』で確認することができた。教科書や検定試験と聞くと、堅苦しく感じる人は多いと思う。けれど、ここに書かれている知識を身に付ければ、制作時の試行錯誤が少なくなり、より短時間で正解に辿り着けるようになるはずだ。もちろん実際に制作することも重要だが、それと合わせて知識の修得も重視して欲しい。両者は双子のような関係だ」と語った。
さらに「最終的にアウトプットされる「絵」や「ストーリー」を意識した制作をして欲しい。たとえば、アップで映ることのないモデルを一生懸命にモデリングしても意味はない。制作工程全般にわたる知識を身に付ければ、無駄の少ない、効率的な仕事ができる。ところが、現役のデザイナーでも、そういう意識をもった人は少ない。これから業界に就職する学生たちには、モデリングだけではなく、絵作り全般を意識した制作ができるデザイナーになって欲しい」と語り、ゲーム業界を目指す学生へのメッセージで締めくくった。

今回のセッションでは、山路氏も磯野氏も、ソフトウェアを使いこなすのと合わせて、幅広い分野にわたる、体系的な基礎知識を修得することの重要性を強調した。これからゲーム業界を目指す学生には、確かな知識に下支えされた表現ができるデザイナーになることで、日本のゲーム業界をさらに活性化させてもらいたいと熱く語る姿が印象的だった。

セッション後は、展示コーナーのCG-ARTS協会ブースにセッションを聞いた学生が多数訪れてくれた。教科書や検定試験問題のサンプルを興味深そうに閲覧する学生で賑わい、セッション実施の手ごたえを感じることができた。

取材:篠原たかこ、尾形美幸
文:尾形美幸
写真:篠原たかこ、尾形美幸