
「第10回学生CGコンテスト インタラクティブ部門」で最優秀賞を受賞された平川紀道さん。
今年開催された第46回ミラノサローネ国際家具展示見本市(イタリア)において、トヨタのレクサスブランドのエキシビションアーティストに選ばれました。
展示を終えて帰国された平川さんとトヨタ自動車デザイン本部の松岡智仁さんにお話をお伺いしました。
−平川さん、お帰りなさい!まず、今回はどのような形でレクサスの展示に参加されたのか教えてください。
松岡さん(以後M)
レクサスはミラノサローネで毎年、レクサスのデザインフィロソフィーL-finesse(エルフィネス)をコンセプトにした「空間」を作っています。
その「空間」に必要な要素として「映像」や「光」の存在は、毎年重要なポイントです。
今回は、建築家の乾久美子さんに空間構成と椅子の制作を、そしてキーとなる映像と音の部分を平川さんにご担当いただきました。
−作品はどのようにして展示されたのでしょうか
平川さん(以後H) 乾さんが監修された空間の中で、壁面にプロジェクターを3台使い、高さ3メートル、幅14メートルの映像を映し出しました。
−大きいですね
H 会場に入るとちょうど目線の高さに映像が投影されていて、
室内にいる人の動きに応じて音と映像が変化します。
会場の導線に沿って来場者が移動していくと、映像にバリエ
ーションが生まれる展示です。
−今回はどのような経緯で平川さんが選ばれたのでしょうか
M レクサスのプロジェクトチームでは、アーティストの候補を複数出しあいます。
遡上に挙がるのは、現在レクサスが考えている「L-finesse (エルフィネス)」に共鳴できそうな人です。
そして作品のポートフォリオなどを見て、乾さんとも相談しながら、最終的には平川さんと直接お会い
するうちに、そのダイナミックな表現力に惹かれ、ぜひお願いしたいと思いました。
−レクサスのアーティストに選ばれたことを知った時はいかがでしたか
H 正直に言うと、終始不安を感じていました。依頼されて作品
を作る、ということがこれまでなかったので、作品制作の
動機が自分の外にある、という状況が初めての経験でした。
終始その不安と戦う、という状況でした。
−どのようにして、その不安を解消していったのでしょうか
H 基本的にレクサスのコンセプトである「L-finesse(エルフィネ
ス)」を完全に制作のベースに据え、その内容に僕自身が
共感できる部分が多かった、というところから見えてきた感じです。決して「折り合いをつける」というネガ
ティブなコラボレーションではありませんでした。
最初は考え方が分からず、ただ映像を提供するだけなのかと思っていましたが、スタートしてから丁寧に
「エルフィネス」の中身を紹介していただきました。
−どういう部分に一番共感を覚えられましたか
H エルフィネスには「予」「純」「妙」という3つの要素があるのですが、この「純」という要素は僕の表現と通じる
部分だと感じました。線や面、点などシンプルな要素を使い、だけど、そこに生まれる表情にとても存在感
があり複雑なもの、というコンセプトに共感できました。
タイトル:Lexus L-finesse Invisible Garden
期 間:2007年4月18日(水)〜22日(日)11:00-20:30
会 場: Via Savona,35 Milano
企画・監修:LEXUS |