
−乾さんとのコラボレーションはいかがでしたか
H 初めてお会いした時点ですでに乾さんの作られた模型が
あり、ここに映像を入れていきましょう、という話があった
ので、僕が乾さんの空間の中で映像を目線の高さで製作
していく、ということになりました。ふたりのコントラストは
良い方に作用していたと思います。
−ミラノサローネの印象は
H 全体を眺めると、展示は目立っていたと思います。
M ミラノサローネは家具の国際見本市としてスタートし、現在
でも家具の見本市的役割は果たしていますが、昨今では、
ブランディングやプロモーションの場としての役割も大きくなっています。幕張メッセのような会場で商談
中心の場から、市内の倉庫やギャラリー、カフェなどで自由に展示を楽しむこともできます。
H アナログな展示が多い中、いつもは自動車修理工場として使われている民家で、映像を使ったエキシビ
ションは珍しかったと思います。
M 会期中は2万人以上の方にお越しいただきましたし、会場に来てスクリーンの大きさに驚かれていた方
もたくさんいらっしゃいました。
−平川さんの展示はいかがでしたか
M 実際に作品が完成した時、あまりにもL-finesseの世界観が上手く現れていたので、平川さん自身の
アーティスト性が作品の中にきちんと現れているのだろうか、と逆に心配になったくらいです。
H 最初はみなさんにはかなり心配され、僕も心配していて、
というのもレクサスの「ダイナミック」は、普段の僕の作品に
出てくる「ダイナミック」ではなく、もっと繊細な「ダイナミック」
だった。そこをどうチューニングするのか。
最初、レクサスの考え方は、車を作っているんだから、車の
ことしか考えていないんだろう、と思っていましたが、
そうじゃなかった。もっと根本的な「もの作り」ということにつ
いて考えられていた、ということが、同じものを作る人間と
して嬉しかった、というか、驚きでもありました。

M 私たちとしては、完成した車を見るだけでは伝わらない、
開発の背景にある「思想」の部分を伝えたいと考えてます。
ミラノサローネでは、レクサスのような展示は他にないので
すが、3年続けて出展したことで話題が広まり、レクサス会
場に行ってみよう、という人が増えてきました。
レクサスの展示手法は、ミラノサローネの新しい楽しみ方の
ひとつとしても、色々なメディアで紹介されはじめています。
−これからの平川紀道はどうなっていくのでしょう。
H 今年の春、大学院を卒業し、このままアーティストとして活動を続けていくつもりです。
ただの自己満足ではなく、プロフェッショナルとしてやっていきたいと思っています。
−今回のようなコラボレーションについてはいかがでしょうか。
H 今回はかなり恵まれた環境で制作ができたと思っています。今後もリクエスト次第ですが、やはりリクエ
ストされた内容に共感できるコラボレーションなら、挑戦したいな、と思います。
−ありがとうございました。次の作品を楽しみにしています。
タイトル:Lexus L-finesse Invisible Garden
期 間:2007年4月18日(水)〜22日(日)11:00-20:30
会 場: Via Savona,35 Milano
企画・監修:LEXUS |