カナダの専門学校では毎日が睡眠不足でした。
ただ専門学校入学前に、物理学の高校教師として赴任していたパプアニューギニアでの“ある体験”が、生涯で一番過酷でした。
勤務地のウエスタン州は、北海道よりもさらに大きいくらいの地域に高校が3つしかないため、各地から集まった生徒は寮で暮らしていました。

“ある体験”というのは、生徒の4年ぶりの里帰りに誘われて同行し、片道175kmの道のりを歩いて帰ったことです。舗装された道はなく、ジャングルを掻き分け、膝まで泥につかりながら進みました。
出発前に生徒から「標高500メートルの丘を1つ越える」と聞いていたのですが、実際にたどり着いたその丘は、頂上が雲でおおわれてまったく見えない山でした(あとで調べてみたら標高3,300メートルを越えていました)。
最後には足が動かなくなってしまい、杖をついて進んだため、手の皮がむけて血だらけになりながら、やっとのことで生徒の実家にたどり着きました。このときは7日間かかりましたが、現地の生徒はこの距離を2日間もあれば帰ってしまうそうです。
パプアニューギニアでの2年間はとてもよい思い出ばかりでしたが、この体験は生涯で一番過酷でした(笑)。
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