まず目についたのが、Microsoft社の研究者による「Touchlight」である。これは、半透明のスクリーンに情報を表示し、操作者はスクリーン前で身振りにより表示部分の移動、拡大等を行う。映画「マイノリティリポート」にあった装置に似ていると考えればよい。この装置の特徴は、単なる出力装置ではなく画像入力も行なえることだ。コピー機を使う時のように、扱いたいページをスクリーンに押し当てると、画像が取り込まれる。取り込まれた後は、移動、拡大・縮小が自由に行なえる。
ドイツのワイマール大学からは、石畳のような非平坦かつ濃淡のある背景にビデオプロジェタ映像を映し出す技術が出展された。テストパターンをプロジェクタから照射し、反射をカメラで拾うことで補正値を決定する。また、視聴位置からもカメラで情報を取得し、凸凹による影響の度合いを測定する。このキャリブレーション過程を経た後にプロジェクタから送られる映像は、凸凹ならびに背景色の影響を極力排除したものとなっている。悪環境でのプロジェクションに活用できそうだ。
東京大学からは、極小の光学系を使った超小型プロジェクタが出展された。再帰性反射幕をスクリーンとして、個人用プロジェクションを実現する。このための光学系に工夫があった。一人が視聴できればよいという割り切りがあるゆえ、光源も小さくまとめられており、その結果発熱量も抑えられている。プロジェクタのあり方を示唆するものであった。
電気通信大学からは、プロジェクタが放つ光に位置情報を埋め込み、それを受光して動くロボットが展示された。通常は、超音波や電波で位置を知るが、プロジェクタの光に情報が入っているところが新しい。また、この考えを逆にして、LCDに位置情報用のパターンを映し出し、このパターンを動かすことで強制的にロボットを追従させるデモも行なわれた。
このような、技術的にも新規性がある展示に対して、多くの日本の大学から出展された作品は、対話性の面白さを中心としたものであった。
(蓮憶人)