
次世代を担う若い才能の発掘と作品発表の場を提供することを目的として、1995年からスタートした『学生CGコンテスト』。
第15回というひとつの区切りを迎えた今回は静止画、動画、インタラクティブの3部門をあわせて1,173作品の応募をいただきました。多くの応募作品の中から受賞を果たした32作品と、最終審査会にノミネートされた28作品をあわ併せた60作品を展示・上映しました。
会場には過去最多となる63,348名もの方々にご来場いただき、盛況のうちに作品展は終了しました。
2月6日に行われた表彰式・授賞記念パーティーとあわせて、受賞作品展の様子をレポートします。


手描き、フルCG、短編作品から20分を超える長尺の個人作品まで、テーマも、作品形態もさまざまな作品が並びました。
動画部門の最優秀賞に輝いた『Lizard Planet』は、地球をテーマに作成された作品です。台詞はありませんが、周りに流されて生きていた主人公のトカゲが、自分の意志を持って生きていくまでを、観客の方も真剣に見守っていました。優秀賞 『中学星 chu-gakusei』はひたすら笑えるショートストーリーです。あまりの脱力感、でも、この次は、次は、と思わせてくれるセンスの良さで、来場者の方を笑いの渦に巻き込んでいました。優秀賞 『ひとりだけの部屋』はヨーロッパの伝統的なアートアニメーションを思わせる古風な雰囲気をもちながら、実はCG技術を駆使したフルCG作品です。その独特な世界観に魅せられた方も多いようでした。


優秀賞 『Rokuro-2』は、光ファイバーを高速回転させている作品です。視覚的に美しい上、表れた光の造形に手で触れて形を変えることができ、作品名を知らずに体験していた方が「ロクロみたい!」とつぶやいている様子が印象的でした。
PC上で展開する作品としては、デスクトップのゴミ箱を空にすると中身が花火になって打ち上がる、優秀賞 『Pyro Directory』。昨今流行のネイルアートのシュミレーションソフト『キラキラデコレーション』(エンターテイメント賞)。同賞『NEO AQUARIUM -甲殻王-』は、甲殻類たちの対戦アクションゲーム作品など、それぞれに工夫を凝らした、さまざまな作品にあちこちで熱中される姿が見られました。
展示作品の中には、文化庁メディア芸術祭でも受賞、または推薦作品に選ばれていたものもあり、学生でありながら高いクオリティを持った作品に来場者の方から高評価をいただくことができました。
今後も学生CGコンテストを継続していくことによって、さらに素晴らしい未知の才能、作品との出会いを期待したいと思います。
受賞者、来場者、審査委員の先生方をはじめ、今回の学生CGコンテストにご協力して下さったすべてのみなさまに心より御礼申し上げます。ご協力ありがとうございました。
今後も学生CGコンテストを継続していくことによって、さらに素晴らしい未知の才能、作品との出会いを期待したいと思います。
受賞者、来場者、審査委員の先生方をはじめ、今回の学生CGコンテストにご協力して下さったすべてのみなさまに心より御礼申し上げます。ご協力ありがとうございました。

受賞者はそれぞれの作品名に名前を読みあげられると、進み出て、CG-ARTS理事長の岩木肇と各部門の審査委員の先生方より、表彰状と賞品目録を受け取りました。その後、各部門の審査委員の先生方から講評と受賞者の方々へのメッセージが贈られました。また、各部門の最優秀賞受賞者からも受賞コメントをいただきました。
高校2年生で受賞された市川さんは「この受賞をきっかけに、プロアーチストを目指して活動していくことを決意しました」と述べられていました。

このコンテストに再挑戦いただいた山口崇洋さん。「2年前は佳作しか受賞できずに悔しい思いをしましたが、今回、最優秀賞を受賞することが出来たことに感激しています。」
審査委員長の原田大三郎委員は「昨年度の学生CGコンテスト受賞者が、今年の文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞していますが、これは学生CGコンテストのレベルがメディア芸術祭にも通じる証明だと思います。これからはみなさんの時代ですから、日本のメディアアートや映像などを支えていってください」と述べられていました。

インタラクティブ部門優秀賞の大貫真史さんは、審査委員の山路和紀さんとゲーム制作の話で盛り上がり、会社へ遊びに来てみませんか、とお誘いを受けていました。
受賞者同士でもお互いの作品を見せ合ったり、受賞作品の制作方法について質問したり、初対面同士でも作品を制作する者同士、すぐに親しくなり、交流を深めていたようです。
2時間という限られた時間でしたが、この受賞記念パーティーでの多くの出会いが、受賞者たちにとって、今後有意義なものへと繋がっていくことを願っています。