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エマージングテクノロジー報告(1)
2007.08.07

 8月6日から、エマージングテクノロジー(Emerging Technology)の展示が始まった。 ここは、いわゆる製品化する前の段階の開発段階の技術や、研究所・大学などの研究機関での研究などが紹介される。主なものを紹介する。




「Buzz:参加人数推測&ビジュアライズ装置」三菱エレクトリックリサーチラボラトリー
 Buzzは、カンファレンスなど、聴衆の集まる場所において、各時間帯におけるおおよそのグロスの人口を割り出し、自動的にグラフとする装置。仕組みは、会場内各スポットに設置したヒートセンサーが人間を探知してだいたいの人数を割り出す。ヒートセンサーによる計算なので、個々の人間を感知するまでには至らず、具体的な人間の数割り出しまでは不可能。




「SCP.Camera」パリ大学ATI(Arts and Technologies of Image)学部
 パリ大学ATI学部の3名の学生により、アートと技術を学ぶ両方の観点から開発された装置。SCP(Shoot,CUT,PLAY)カメラが名称。モデリング、アニメーションなどのデータを取り込んでおいて、そのバーチャルワールドを、カメラズーム、モーショントラッキングなどの機能を駆使しながら撮影記録する。被写界深度やモーションブラーなどのエフェクトもかけられる。編集したものは、Mayaなどにエクスポートしてレンダリング処理を行う。カメラ操作の習得やCGアニメーション習得など、多目的がある。




「inter-glow」東京大学
 バーチャルリビングルームを設定し、父親、母親、娘など、家族内のそれぞれのバーチャル会話を生成する。仕組みは、中央のテーブル内に、光センサーを感知する装置が仕組まれており、操作された光を種分けしながら、すでに録音されている、それぞれの人物の声を生成するというもの。




「CoGAME」東京大学
 プロジェクターで映し出した道に沿って進む亀ロボットをゴールまで導くゲーム。コマンドとビジュアルを発信する小型プロジェクター装置を利用したインタラクティブ性を追求する実験。プロジェクターには小型カメラが設置されており、そのカメラによって亀の位置や方向を測定する。この測定データは道の方向に合わせて修正され、そのコマンドを亀に向けて発信させる。




「The Next Generation of MEMS-Based Displays」QUALCOMM MEMSテクノロジー
 モバイルなど小型デバイスのディスプレー表示に向けた業界初の最小インターフェメティックモジュレーター(IMOD)。小型、省電力、高画質、高光などを実現している。




「The XO Laptop」マサチューセッツ工科大学
 アフリカ難民の子供など、世界の貧困な子供達にも学ぶ、コミュニケーションを形成するためのツールを普及することを目的とした、世界子供基金のプロジェクトの一貫として開発されたもの。ローコスト、安定性、ソフト開発のためのオープン性、SUGARという易しいGUIを搭載している。全世界の子供たち一人一台の普及を目指す。




「Haptic Telexistence」東京大学
 Haptic Telexistenceシステムは、人間の微妙な動きのニュアンスを物体に反映させるためのツール。現在、動きに加えて物体の強固を感じるまでのシステムなどは普及されているが、さらに、より繊細さと詳細な分析力を加えたもの。例えば、手を握るだけでなく、その手の暖かみを感知することなど。外科手術や、工業、製造などの微妙な操作、またモデリングなどへの応用が見込まれる。




「E Ink Electrphoretic Display」E Ink Corporation
 Eブックや、E新聞、タブレット、モバイル電話などをターゲットとして開発された省電力、小型設計のディスプレー技術。日射の下でも表示が可能。E新聞などは、リアルタイムのアップデート、紙消費による自然破壊の回避などの利点がある。
 現段階ではモノクロ表示であるが、フルカラー、丸めたりと柔軟性のあるディスプレーなどの開発を進めており、完全に紙媒体に変わる物を目指している。




「Fuwapica Suite」Studio Mangoose.JST(日本)
 Fuwapica Suiteは、テーブルとイスの家具セットで、ライティングシステムを利用したイスは、人が座ることによって色が変わる。カラーセンサーとライトコントローラーを内蔵している。座る人の感情をカラーで示すシステムを目指して開発途中。




「High-Dynamic-Range-Projector(HDR)」Dolby Laboratories
 画像右側がHDRプロジェクター。アナログフイルム色調再生が困難なデジタルプロジェクターの劣っている点を意識したもの。ロー・ダイナミック・レンジ・ルミナンスの違いに注目している。2つの解像度の相違なレゾリューションの組み合わせた空間調整、光学高解像度のモジュレーション、心理学による立証などの要素を取り入れている。
 HDRテクノロジーは、将来的にデジタルビデオカメラへの採用、ホームシアターなどの用途が見込まれるが現在の環境と大幅な入れ替えを要しないよう開発が進んでいる。




「Video Agents」大阪大学
 インタラクティブサイバースペース上で、それぞれの個性を持ったエージェント(人物キャラクター)を操作する。例えば、イスを配置すればそれに座り、障害物を配置すれば避けて通る、食べ物を配置すれば拾って食べるなど、インタラクティブな動きをおこす。タッチパネルによる操作も可能。大きな特徴はそれぞれのエージェントが実際の人物であること。モーションキャプチャーによる撮影、動きの癖などのビヘイビア設定、それによるデータベースなど、さまざまな分析情報を組み合わせている。
 科学や教育など、多方面での利用を目指す。




「Lensless Stereo-Microscopic Imaging」IBM Almadenリサーチセンター
 シングルイメージチップで2つのLED画面を表示する技術。ユーザーはLCDシャッター眼鏡を装着して、一滴の水の中のプランクトンの動きを3D表示で観察することができる。CRTモニターは、デジタルイメージングセンサー装着の顕微鏡と接続。センサーは、微細なものの感知、ライティング、ハイコントラスト、そして高速表示の機能を持つ。生物学での用途が見込まれる。




「Globe4D」Leiden大学
 インタラクティブ4D地球儀は、古代世紀より年代による地球大陸の変化をインタラクティブに表示する。これは、天候の変化、植物の生長、放射能放出分布、酸性雨、航空機経路など、地球上全体の動きを表現するツールとしても応用できる。
 3Dマッピング情報をインタラクティブ操作と組み合わせている。




「GlowBots」Future Applications Lab,Viltoria Institute
 小型でキャスター装着のロボット。ロボット同士お互いに接近することにより友好関係を深めたり感情を表す表示を電光で示す。ロボット自体にインタラクティブな反応を持たせることにより、空港や遊園地内での案内役、ペット代わりなど、人間の感情に触れる面を保ちながらの用途を見込んでいる。
 e-Punkというロボット開発用オープンなプラットフォームを利用しており、このプラットフォームは、IRプロクシミティーセンサー、カメラ、マイク、アクセサレーター、スピーカーBluetoothインターフェース、PICマイクロコントローラーなどのコンポーネントを搭載している。GlowBotsは、安価で表情豊かな小型ロボットを目的に、これらを組み合わせて開発されている。極小小型LEDは148個搭載。




「Freqtric Game」九州大学
 ロボットが射撃やジャンプをして競うゲームに、人間の皮膚をコンダクター(媒体)としての要素を加えたゲーム。コントローラーにセンシングモジュールが組み込まれ、手の皮膚を感知する。Freqtric Gameは、昨年のSIGGRAPH2006のFreqtric Drumsに引き続く、Freqtricプロジェクトの一つ。「タッチ・インターフェイス」「B to B(Body to Body)」をテーマに、バーチャルの世界だけでなく実世界でのアクションを取り入れることを目的としている。




「Microsoft Surface」Edelman&Microsoft  レストランやホテル、販売など近い将来の商業用途を目的としたサーフェースコンピューティングシステム。指でのタッチやジェスチャーなどのアクションをパネルで感知して操作する。複数人同時の操作にも対応。




「An Interactive 360-Digree Light Field Display」USC Institute for Creative Technologies
 5000fpsのスピードで回転、レンダリングしながら、3Dイメージを形成する光オブジェクトを作り出す。特に眼鏡などの装着を必要としない。3年ほどでカラー映像と進化し、ハイエンドビジュアライゼーションシステムとして市場に登場する見通しだが、現在のように両ハードウェアの価格低下が進むようであれば、低価格な製品ができあがる予定。グラフィックスハードウェアととプロジェクションディスプレイハードウェアの構成で、レンダリングにはOpen GLと最新のDLP技術などを要する。

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