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SIGGRAPH2007まとめ CG表現能力の拡大へ
2007.08.09

 CG関連学会の最高峰で、最大の展示会でもあるACM SIGGRAPHが8月5日より9日まで米国カリフォルニア州サンディエゴのサンディエゴ・コンベンションセンターで開催された。 今年もCG関連の研究論文には画像処理関係のものが数多く含まれた。 機器展示では、入力方式に新しい展開が見られた。

●学会としての画像処理への対応強化
SIGGRAPH2007は陽光あふれるサンディエゴで8月5日より9日まで開催された

展示会には235社が集まり、機器からサービスまで幅広い分野での展示が行なわれた

エフ・イー・テクノロジーズは240
Hz駆動のFEDを世界初公開した

大会委員長のジョー・マークス博士は画像処理がSIGGRAPHの第4の柱となったことを明らかにした


 34回目を数えるCG関連学会、展示会のSIGGRAPHが8月5日より9日まで、サンディエゴ・コンベンションセンター(米国カリフォルニア州)で開催された。
 学会としてのSIGGRAPHでは、今年も画像処理関連の論文発表の比重が増え続けており、特に計算写真学の分野では今年は19本(昨年は16本)の論文が採択された。論文の傾向について、大会委員長のジョー・マークス博士(ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ)は記者会見で「伝統的なモデリング、アニメーション、レンダリングの三分野に加え、画像処理を新分野として、論文の審査委員会を形成した」と、学会として画像処理への対応を強化してきたことを明らかにした。
 世界中から送られた映像より厳選されたものが上映されるエレクトロニック・シアターでは、今年は35本のCG作品が集まった。ここ数年見られたアート偏重の路線が改められ、ビジュアライゼーション、CF、アート作品、VFXシーンなどからバランスよく作品が選択されていた。シアターでは、国立天文台が宇宙形成のビジュアライゼーション「4D2U」プロジェクトの一環として制作された作品も上映され大きな拍手を浴びていた。

●240ヘルツFED登場
米オーガニック・モーション社は、マーカー、センサー不要のキャプチャー技術を出展した

米アグル・イメージーズ社は、3D技術を用いた超高精細スキャナを出展した

アグル・イメージーズ社が販売するライトステージは、USCのライセンスによるものである

MERLが開発したモーションキャプチャ装置を取り付けたカメラ左は開発者のラメッシュ・ラシュカ博士

IBMのQS20は、PS3比で14倍以上の演算能力を持つ。高画質、高フレームレートで描画していた


 展示会には、昨年を上回る235社が集まった。ワークステーション・メーカーが大きなブースを構えた時代は過去のものとなり、ハードウェアは汎用品の利用が一般的となった。その中で、ソニー、東芝と共同開発したプロセッサ「セル」によるブレード・サーバを出展した米IBM社は異彩を放っていた。
 ソフトウェアでも、著名なCG制作用ソフトの企業が巨大なブースを開設する、ということはなくなり、各社とも小振りなブースでの展示となった。代わって、会場周辺で行なわれるユーザー・ミーティングなどが巨大化する傾向にあった。特に米オートデスク社は、退役した航空母艦「ミッドウェイ」上でユーザー・ミーティングを開催し、約5000人(推定)を集めたとされている。
 新機軸が目立ったのは入力関連機器である。モーション・キャプチャーでは、16台のカメラから三次元画像を再構築することで、トラッキング用のマーカーを打つ必要のないものが米オーガニック・モーション社から登場した。センサーやマーカーを身体に取り付ける必要のある従来型とは一線を画した作りとなっている。
 スキャナでは、米アグル・イメージーズ社からユニークなものが現れた。対象である平面物体を角度を変えて500枚の画像を撮影し、そこから三次元オブジェクトとして対象物のデータを取得する。この結果。表面に1インチもの凸凹があってもボケることなく画像情報を取りこめる。従来のスキャナが被写界深度に依存していたのとは大きく異なる。他に同社はライトステージなどを製品化している。
 ディスプレイでは、ソニーからカーブ・アウトしたエフ・イー・テクノロジーズ社がFED方式のディスプレイを出展した。有機ELの先に来る「究極のFPD」として知られるFEDはSIGGRAPH初登場である。FEDの反応の良さを活かして、展示では240ヘルツの高フレーム・レート(HFR)画像が示された。HFRはソースがCGに限られるため、この展示のために特別に制作された画像が使われている。60ヘルツのLED、FEDとの比較でも切れの良い画像となるが、240ヘルツでは立体感のある別次元の画像となっていた。
 SIGGRAPH2007では、他に開発途上の技術を発表する「エマージング・テクノロジ」、アニメータ達が不眠不休で作品制作に挑む「フィョォージ」など研究系、制作系の行事も開催され大きな人気を博していた。

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