函(はこ)

この作品はインスタレーション作品ではあるが、まず作品紹介の映像の作りが面白くて引きこまれた。この作品を動かしているのは高度なプログラムでも、特に変わった自作デバイスでもなく、ルンバやキネクトといった既成品を組み合わせたものだ。キューブ状の函のなかで柱の位置を取得するためにキネクトを、柱を動かすための車として自動掃除機のルンバを、少しズレた使い方ですることで、作品にうまく活用している。こういう既成のものを作品へと取り込む感覚がユニークである。またどこかの部屋にある実際の柱を模したオブジェを動かしているため、文字通りインスタレーションとして異様な違和感を作り出している。ほかの会場での展示が難しいが、どこか別の場所で展示されるときはそこ最初からあるものから別の形でこの作品がインストールされているところをぜひ見てみたい。
(萩原俊矢)

田崎 亮平(作者/代表者)、仁保 隆嘉(共同制作者)
東京大学大学院
インタラクティブアート