おじいさんのマスカット

複数応募してくださった方の作品でしたが、本作が1番心に残りました。ゆるい雰囲気の世界観とあわい色彩の中で描かれるマスカットとおじいさんの交流は、おかしさとかなしさが同居しており、そのバランス感の妙が魅力的。その効果はどこから生まれるのか考えてみると、1つにはすべてのキャラクターのセリフをおそらく作者本人がひとりで担っている点かもしれないと感じました。とくにおじいさんのナレーションがよく、微妙に声色を変えつつも、変えきれていない点。でもひたむきにつくられている、という点からかもしだされるおかしみがとても心地良かったです。マスカットを含め、登場人物が愛らしく、どうしても好きになってしまいました。
(武田俊)

田島 かおり
多摩美術大学
アニメーション