ジャスコだったところ

多種多様な店舗が入居する大型ショッピングセンターは、その強烈な利便性から広範囲の地域住民を吸引する力を持つ。それゆえ、それ以前からあった中心市街地を空洞化させ、周囲に広大なボイドを形成する。しかし、そんな大型ショッピングセンターも地域情勢や経済情勢などに影響され、閉鎖される可能性も無いではない。本作で提示されるのは、まさに実際に閉鎖してしまった、ある大型ショッピングセンターおよそ100店舗の現在の姿である。ある場所は別の大型ショッピングセンターに、ある場所はパチンコ店に、ある場所はそのまま廃墟に、そして何も無くなってしまった場所もある。コミュニティの欲望の塑像とも言えるその姿を、シンプルに淡々と切り出していく本作を通じて、自分がその地域に暮らす人々へと徐々に変化していくと同時に、消費社会の深淵へと追いやられる感覚を覚えた。
(渡邉朋也)

郡司 斐
慶應義塾大学大学院
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