桜宮商店街

高校生だからこそ作れるタイプの作品というものが存在していて、この作品はまさにそれだと思う。冒頭のショット、女子高生が埃ただよう店内で掃除をするシーンの佇まいにまずやられてしまった。この作品の高校生らしさの美点とは、他の人がどう思うかについては考えず(考える余裕がなく)とにかく自分たちが面白いと思うことをきちんとやりきったところにある。それを「信念」と呼んでしまってもいいのかもしれない。客観的な自己反省が始まる前の、自らの身体に定着したばかりの思想が、この作品の雰囲気からは感じられる。こういう作品を作れた、こういう信念を持てた高校時代というのは一生の思い出にする価値があるよなあ、と素直に思った。
(土居伸彰)

大久保 貴志(作者/代表者)、加藤 亜弥 / 中山 裕梨香 / 渡邊 優花 / 塩月 星佳(共同制作者)
花咲徳栄高等学校
アニメーション