speaking clock

海外の時報サービスというものをこれまで聴いたことがなかったし、そもそも海外にも時報サービスが存在することすら知らなかったのだが、この作品に使用されている様々な国の時報サービスの音声を聴いてみると、まず時間を告げるその口調が国によって大きく違うことに気付かされる。これは「時間」が持つ意味合いが、国によって違うということの表れなのだろう。時報サービスというと、標準時への同期がその機能の第一義として想起されるが、それ以前にその国の「時間」文化の一端を発露させる機能もあったのだ。本作では、時報サービスのそうした機能に光を当て、時間軸上に構成することで、均質なはずの時間の進み方に楔を打ち込み、ダイナミックに時間感覚が伸縮するような、そんな感覚に陥った。
(渡邉朋也)

大野 茉莉
東京藝術大学大学院
サウンドアート