今年で学生CGコンテストも無事に16回を迎えることができました。
出品していただいた学生諸君と指導してくださった先生方、及びスタッフの方々にお礼を申し上げます。
数的な意味での、ある節目を越えた今回、みなさんが私たちに見せてくれたのは、我々の心配を吹き飛ばす質の高い作品の数々でした。すべての部門がツールとしてのデジタル技術を駆使し、そして料理しそれぞれの表現を追求している。そこには何かと閉塞感の強い昨今の日本の状況を打破することができる若い想像力と力を感じます。とくに今回の動画部門の質の高さは、アートアニメーションの世界において日本が世界のトップクラスであることを如実に証明しています。
さて、みなさんの作品(想像力+勇気)を受け取った私たちは、その思いに対して何を返すことができるのか?日々自問自答であります。微かに見えるのは、twitterやUstreamに見られる、いわゆるソーシャルメディアと呼ばれる新しいネットワークの世界。このソーシャルメディアが示す開かれた世界は、Groove感のある新しい人々のうねりを作り出す力を持っています。ならばその力を使って、単にトロフィーを渡すだけではなく、一人のクリエイターとして受賞後も活動していくことができるレーベル?フィールド?を創造することはできないのか?ものごとには変わっていい部分と変わってはならない部分があるのは事実です。キープする部分はキープし、トランスフォームを許される部分は積極的トランスフォームし、世界と同期していく。変化することには勇気が必要です。
しかしみなさんが見せてくれた勇気に答えるには、我々も勇気を持たなければ答えられません。日々夢想ですが、それはすばらしい宝物の”ありか”を知ってしまったからなのです 。
学生CGコンテスト審査委員会 審査委員長
原田 大三郎
(多摩美術大学教授)