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第14回 受賞者の声

第14回 受賞者の声 鈴木莉紗
   
Q 応募のきっかけは何ですか?
A

アルス・エレクトロニカで展示していた時に、CG-ARTSの方に声をかけられて応募しようと思いました。

Q

以前から知っていましたか?

A

知っていました。応募するまでは、メディア芸術祭との違いは分かっていなかったのですが、昨年の新美術館での展示も見に行っていました。

Q

印象は?

A

学生CGコンテストと聞くと、CGをやっているコンテストの様に聞こえるのですが、インタラクティブ部門がある事が意外だなと思っていました。 私は、三次元的なものに興味があるので、昨年のgeometorixは印象に残っています。

Q

風の音楽はどれくらいの時間をかけて作りましたか?

A

実験から数えて、3ヶ月で作りました。もっとちゃんと考えればと思う所もあれば、よく3ヶ月で出来たなとも思いますね(笑)2007年9月〜11月にかけて作りました。11月に学校で大きな展示があった事と、修士の2年間を過ごす上で、一年生の冬のこの時期に形にしておかないと軌道に乗れないな、という想いもありました。 その前の7月にも展示があったのですが、その時はシャボン玉発生機の制御をしているだけで、もっと新しい事がしたいなと思って、シャボン玉が何かにあたった時に音が出るものを作ろうというアイデアに移って行きました。

Q この作品に至った過程を教えてください
A

シャボン玉で修士2年間の研究をしようと考えて、ずっとシャボン玉の事を考えていたんですね。最初に作った作品は「都市の隙間」という作品で、公共空間の中で、シャボン玉が飛んできた時に、立ち止まってみたり、ふと割ろうとしてしまうような人間らしい瞬間を “都市の隙間”と呼んで、そういう状況を起こす作品を作ったんですね。それは、赤外線のセンサーが設置されていて、人が通ると、ファーっとシャボン玉が上から降ってくるというものだったのですが、それだけだったので、シャボン玉が降ってるだけじゃんと人に言われて、もっと見た事無いようなものじゃなきゃだめだなと思っていました。趣味でたまにピアノを弾くんですが、楽譜を見ていたら、音符がだんだんシャボン玉に見えてきて、線みたいなものに引っかかった時に、ミがなったり、ドがなったりっていうのをシャボン玉でやったらいいかなって思って、ハッ!「風の音楽」って思ったんですね。

最初は、電線みたいに大きい空間に広げて、やりたかったのですが、最初は小さな実験的なものからやりなさいというアドバイスをもらってこの形になりました。
なので、あの縦の線は5線符なんですよね。

Q

なぜ、シャボン玉をテーマにしようとしたんですか?

A

武蔵野美術大学(学部)で建築を専攻している時に、一年イギリスに留学していたのですが、その時にRoyal College of Artという大学で初めてインタラクティブアートというものに触れました。その時に、何だこのジャンルはと思いました。全く知らないイギリスの女の子とその作品を通して言葉を交わさずに遊ぶ事が出来るのはすごいと思いました。それで、こういうことをしたいという思いから東大に入りました。
そういう、言葉を交わさずに人と遊べるとか、ゆるりとコミュニケーション出来るものは何だろうなと思っている時にシャボン玉が出てきました。
私が、フーッと吹いても、子供や見ず知らずの人たちが集まってくるので、シャボン玉にしました。やっぱり、みんな知っていて、直感的に楽しめるものなので良いなと。

Q

受賞の感想を教えて下さい。

A

メディアアートをやってみたいと思ってから、2年間やってきて、中で区切りになりましたし、すごく嬉しかったです。やっぱり、すごく大きな所で展示してくださるので、すごく多くの人が見にきてくれたので、美大の友達以外にも多くの人が見に来てくれて嬉しかったですね。 年配の方が「なんて素敵なの!」と声をかけて下さったりして、嬉しかったですね。

Q その中で出会いなどはありましたか?
A

いくつか声をかけていただいたのですが、まだコンタクトはしていないですね。これからもやって行けたらとは思っているのですが、どうやっていったらいいのかわからないので、うやむやになっているんですよね。 設営一つとっても4月から自分が自由に動けるわけではないので、今後の事を考えると難しいですね。CG-ARTSの倉庫で保管していてどこかで展示などしていただければ嬉しいですけどね(一同笑)。

Q レセプションやパーティーなどで嬉しかった事はありましたか?
A

まず、親が喜んでいたことと、審査員の先生に会えたことと、これからの話を出来た事ですかね。先生方とは、これからあの作品どうするとか、結構現実的な話をしていました。

Q

武蔵野美術大学の時は建築を専攻していたんですよね。

A

そうですね。でも、3年生の頃から私は建築には向いていないということを思うようになって、インスタレーションなどを制作していました。建築の中で一つだけ自由なことが出来る先生についたので、自由に映像を使った作品などを作っていました。
建築をやっていた事は、空間の事や、その場所でしか出来ないものを作りたいという気持ちにつながっています。アルスエレクトロニカで展示した時も、新美術館で展示した時で大差は無かったかもしれませんが、一回やって全部分かってしまうものよりも、その場その場で表情が違うものになるように、気まぐれさを持ち合わせたシャボン玉を使っていました。

Q

シャボン玉の“予測出来なさ”に対するこだわりはありますか?

A

デジタルな世界だけで完結してしまうものとは違う様に思えるのですが。

彫刻やインスタレーション作品は、作品の配置やサイズをとっても、「あぁ、この場所だからこうしたのか」と思える、場所との繋がりがあるのですが、インタラクティブアートやメディアアートの場合、どこでも出来る(システムが作動する条件が整っていれば)反面、場所は関係ないと思えてしまうものが多いように思っているんです。それに対して、「今、ここ!」って言いたくなるような、時間と場所の交点である“今、ここ”を感じさせる事って大事だなという思いから作っていました。今、ここにしかないものを感じさせたいとか。

ロンドンに留学している時に近くでテロがあったんですが、全然知らなく家に帰ってテレビをつけた時に初めて、その事を知って、それって東京に居ながら知るのと変わらないなと感じた時に、自分が今、ここにいる意味って何だろうって考えるようになったんですよね。

インスタレーションって解体してしまうので、インターネットでいつでも検索出来る情報や、いつでもどこにでも再現出来てしまうものとは違っていて、今ここにしか無い特別なものだと思うんですよね。だから、もっともっと場所性を生かせる作品を作って行きたいと思っています。日本ならこうとか、日本の中でもこの場所ならこうとか、もっと考えて行きたいですね。


 
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