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CGを制作するうえで基礎知識の習得は一番大切 佐野雄太さん


CG検定3級(現在のCGクリエイター・CGエンジニア検定ベーシックに相当)を合格している佐野雄太さん。 CGクリエイターになる前は、パプアニューギニアで物理学を教える高校教師だったという、業界では異色の経歴をもつ。夢に憧れ、実現するまで走り続ける、努力の軌跡をお伺いした。


  
現在のお仕事につくまでの経緯を教えてください

CMや映画、ゲームなどを手がける映像制作会社に勤務し、おもにゲーム分野において、キャラクタやストーリ内のCGアニメーション映像を制作しています。 小さいころから、宇宙や恐竜のような、本当に存在するけれど手の届かないものに憧れがあり、映画“スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望”を見て『コレだ!』と思い、宇宙を勉強するために、大学では宇宙物理学を専攻しました。

卒業後は国際ボランティアの一員として、パプアニューギニアの高校で物理学の教師として2年間の派遣が決まっていましたが、将来は“スター・ウォーズ”のような映像作品をつくる世界に進みたいと思っていました。その頃はCGで何ができるのか、何をすればよいかが全くわからなかったので、派遣前に、まずはCGとは何かを知るためにCG検定を受験しました。 帰国後は、よりハリウッドに近い環境でCGを学びたかったため、ハリウッド映画のCGを手がける講師が指導するカナダにあるCGの専門学校Vancouver Institute of Media Arts (VanArts)に入学し、3D Animationを学びました。

 

カナダでのCG専門学校時代の生活を教えてください

それまで実際にCG制作をしたことがなかったので、専門学校ではCG業界に就職する力を身につけるため、休む間もなく勉強しました。学校は24時間開校していたので、1年間の在籍期間のうち、学校のPCのメンテナンスの日と、サンクスギビング、休校と勘違いしていた日の3日間以外は、毎日9:00〜深夜3:00頃まで学校で勉強していました。
学校と家の往復で観光などできませんでしたが、スノーボードが趣味なので、学校にボードを持って行き、レンダリング時間のあいだに滑りに行ったこともあります。

 

かなりの勉強量ですね。意欲もさることながら体力的に大丈夫だったのでしょうか

カナダの専門学校では毎日が睡眠不足でした。
ただ専門学校入学前に、物理学の高校教師として赴任していたパプアニューギニアでの“ある体験”が、生涯で一番過酷でした。 勤務地のウエスタン州は、北海道よりもさらに大きいくらいの地域に高校が3つしかないため、各地から集まった生徒は寮で暮らしていました。

“ある体験”というのは、生徒の4年ぶりの里帰りに誘われて同行し、片道175kmの道のりを歩いて帰ったことです。舗装された道はなく、ジャングルを掻き分け、膝まで泥につかりながら進みました。
出発前に生徒から「標高500メートルの丘を1つ越える」と聞いていたのですが、実際にたどり着いたその丘は、頂上が雲でおおわれてまったく見えない山でした(あとで調べてみたら標高3,300メートルを越えていました)。 最後には足が動かなくなってしまい、杖をついて進んだため、手の皮がむけて血だらけになりながら、やっとのことで生徒の実家にたどり着きました。このときは7日間かかりましたが、現地の生徒はこの距離を2日間もあれば帰ってしまうそうです。 パプアニューギニアでの2年間はとてもよい思い出ばかりでしたが、この体験は生涯で一番過酷でした(笑)。

 

CG検定を受験してどうでしたか

CGについてまったく知らず、何ができるのかもわからなかったので、CG-ARTS発行のテキストブックで基礎から勉強し、検定に合格したことで、モデリング、レンダリング、アニメーションといったCGが完成するまでの工程が理解でき、自分が何をしたいのか、道を見極めることができました。

 

勉強したことは、どのようにCG制作に活かされましたか

CGを制作するうえで、基礎知識の習得は一番大切だと思っています。CG制作は、アプリケーションソフトをうまく操作して作品がつくれるようになるためのテクニックの習得だけが重視されがちです。トーンカーブやシェーディングなどを利用して作品を表現したいときに、数値やグラフの意味がわからなくても、操作ができれば何となく作品ができてしまいます。
感覚で作った作品と、基礎知識を習得して効果の意味を理解したうえでつくった作品は、全く違います。知識を身につけることで『こういう絵がつくりたい』と思った通りの表現に近づく操作ができるようになりました。

どんなマシンでも、中で何が起こっているのか理解せずに使うのが好きではありません。この操作をしたら、この結果がでる、という意味をきっちり理解することが、作品を制作するうえで大切だと思います。いまは、アプリケーションソフトに頼らないカメラワークの知識を習得するために、すべての操作が手動でできる銀塩カメラを使って実際に撮影し、広角や望遠、被写界深度などを自分の目で確かめて勉強しています。 また、大学時代に物理や数学を専攻したことは、CG制作で大変役立っています。アニメーションの制御にはグラフを使用しますが、グラフからどういう映像が出力されるかを数学的観点から推測することができます。 アニメーションでは重力を計算して制作することもあります。

 

今後、どのような作品を作っていきたいですか

絵画の世界では“油絵”というツールで、多くの画家がたくさんの技法を生み出して個性を表現したように、CGというツールを使って新しい表現方法を模索していきたいです。また、映像は言葉を越えたメディアなので、CGを使って世界とつながるものをつくり発信していきたいです。

 

将来の夢をお聞かせください

海外でのCG制作現場は分業化されており、モデラ、リギングアーティスト(リガー)、シェーディングアーティストなど、役割がきっちり分かれていますが、日本では全工程をある程度理解して、こなす必要があります。将来は、まずはアニメータとしての役割を自分のものにして、最終的にはCG制作のジェネラリストとして、ディレクターを目指しています。

 

CG業界に就職したい人へのアドバイスをお願いします

いまは映像制作会社でCG制作をしていますが、ここに就職するまでは、CG検定の受験と専門学校でのCGアニメーション制作の勉強以外では、CG制作にかかわったことはありませんでした。
CG業界で働きたいなら、CGの勉強だけではなくて、何でもやってみることがとても大切だと思います。CGで表現する際に自分の経験が活かせるため、どんな些細なことでもすべてが絶対に自分のプラスになり、無限の可能性につながります。たとえば「旅行が好き」という人なら、旅行に行ったことで磨かれた感性をどうCG制作に活かすかを意識して、それを強みとすれば、良い作品制作につながっていくと思います。私は数学や物理学、海外での経験がCG制作にとても役に立っています。
この業界を目指す人には、これまでの人生のなかで自分だけの強みは何か、を見つけられるかどうかが大切だと思います。




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