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テクニカルプログラム始まる
2007.08.07

 5日朝よりSIGGRAPH2007のテクニカルプログラムが始まった。5日の主な行事はコース(講習会)であるが、他にポスターセッション(研究成果を貼り出して発表するもの)、エマージング・テクノロジ(研究開発中の技術の動態展示)なども始まった。
 コースは、今回のSIGGRAPHでは33本が開講される。午前または午後のみの半日コースと、終日のコースの2種類がある。なお、コースを受講するには「Full Conference」で登録する必要がある。
 5日のコースで最も人気を集めたのが、午後に開催された「From "Shrek" to"Shrek the Third": Evolution of CG Chanracters in the "Shrek" Films("シュレック"から"シュレック3"へ:映画"シュレック"シリーズにおけるCGキャラクターの進化)」であった。2000名収容可能の会場が、ほぼ満席となっていた時間もあった。
 技術関連のコースで最も人気があったのは、終日の講座である「Computational Photography(計算写真学)」である。これは、ディジタル技術と新しい演算方法を用いて、フィルムカメラや既存のディジタルカメラでは不可能な「写真」を得ようというものである。この分野は、この数年SIGGRAPHで勢いのある分野であるが、今年はペーパー(論文)にも計算写真学関連のものが19篇通っていると、このコースをまとめたRamesh Raskar博士(MERL:7日のツアー説明会での講演者)は述べていた。
 今年のコースには、約600名の参加者があり、200名程度であった昨年とは大きな違いがあった。内容は、計算写真学の基礎として「写るとは何か」「フィルムに写るとは何か」から始まり、コンピュータ処理が含まれることで初めて実現できることが示された。コースの中では、ディジタル一眼レフカメラの絞りを改造して被写体から受け取る情報を拡張することで、計算処理により用意に焦点を変更する(ポンボケ写真でも後の処理でピントを合わせ直せる)手法が紹介された。また、光源を制御することにより、写真の中からホットスポット(ストロボが反射した部分)を除去すると同時に、被写体面にかすかに残る撮影者の像を再現する方法も示された。更に、正確に制御した光源と光源に連動した百万枚ほどの写真から、裏返したトランプのカードを読みとる、というコンピュータ化されたことで初めて可能になった技術も明かされた。これら、従来の写真の枠を越えた技法のいくつかは、今年の論文発表で示されるが、一足先にコースで公開となった。

●論文ファスト・フォワード(早送り)
 「ファスト・フォワード」は比較的新しい行事で、今回の論文発表者が登壇して50秒(今年の場合)で自分の論文の内容をPRする、というものである。究極のプレゼンテーション大会とも言われている。表情豊かに話す人、寸劇を行う人、本人は話さずに映像中でプレゼンテーションを行う人、そして映画予告編ならぬ論文予告編を上映する人など、特徴のある発表が目白押しとなった。
 論文全体の傾向としては、画像処理要素が強くなり、これまでCG研究の大きな柱の一つだった「シェーディング」に関するものはほとんど見られなくなった。モデリングやアニメーション(動き)に関するものは論文が出ており、まだまだ問題が残っていることがうかがえる。また、ハードウェア関連では、アーキテクチャ等は5日まで併催されていた「グラフィックス・ハードウェア」での発表に移っており、GPUを活用した問題解決などが発表されていた。
 画像処理関連では、前出の計算写真学関連のものが多い。大量のデータの中から、切り貼りに適した静止画を自動発見するといったユニークなものもあり、2D、3Dともに画像処理の研究が急速に進んでいることが見て取れた。
 物理シミュレーション系の研究もあったが、より正確さを求めるものと、演算の過程は異なっても見た目の「それっぽさ」を追及したものに分かれていたのが目を引いた。
 ファスト・フォワードから観察すると、CGの研究は昨年よりも各分野とも元気づいており、それぞれの分野で課題を発見し、解決に努力してきたことが見てとれた。

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