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ソフトイマージ ビル・ロバーツ氏 インタビュー
XSI最新バージョン6.5、フェイスロボット
2007.10.11




 ソフトイマージは今年のSIGGRAPHにおいて、「XSI」の新バージョン「6.5」と「フェイス ロボット」の「1.8」を発表した。プロダクトマネージメントディレクターのビル・ロバーツ氏に製品戦略について話を聞いた。

●エッセンシャルズの機能を強化
――SIGGRAPHでの発表について。
 今年のSIGGRAPHでは、新バージョンの発表と同時に、商品の新しいパッケージを発表した。3Dソフトは他に比べ機能が豊富だが、異なるワークフローではあまり上手く使えなかった。そこで、アドバンストの2つの機能をエッセンシャルズに持ってきた。ヘア&ファーとサイフレックス クロスだ。キーコンポーネントであるキャラクターアニメーションにとって、ヘア&ファーとサイフレックス クロスはエッセンシャルズでは重要だ。
 エッセンシャルズにこの機能を持ってくることで、アーティストにとって完璧なツールセットとなった。エッセンシャルズがアートに関わる人に完璧なツールセットであり、一方アドバンストはより、組織での業務に関わるTD(テクニカル ディレクター)などに使用されていることが分かったので、エクストラ バックグラウンド プロセッシングを、アドバンスト キャラクター シミュレーションのビヘイバーと同時にアドバンストに追加した。これにより、アドバンストは組織的な業務をするTDに最適なツールとなった。つまり、ワークフローに応じた機能を用意したということだ。それに加え、エッセンシャルズには、2600ドルのソフトウェアをつけ、価格を約1000ドル値上げした。これはとても価値がある。
 アドバンストに関しては、市場は成熟しており、値上げはビジネスの成長の妨げになると考え、6995ドルを4995(819,000円)ドルに値下げした。それがパッケージに関する大きな変化だ。
 またそれに加え、30以上の新機能や拡張機能を追加した。多くのプロダクションのパートナーから、過去1年間で要望のあった点だ。これは、このソフトウェアで作業する人、特に会社の特定のプロジェクトで作業する人のために作り、XSI6.5のリリースに合わせ、製品に戻した。

――ファウンデーションに関しては変化がなかったが。
 新しい機能をソフトにつける場合、保守契約の範疇で提供する場合と、新たに価格に転嫁する場合がある。エッセンシャルズとアドバンストの場合は、保守契約を交わしたユーザーへ提供するための新機能として提供していける。しかし、ファウンデーションの場合は、個人向けの入門用3Dツールとして位置づけているために価格が安く保守契約のないスタイルをとっている。なので、機能強化のサイクルは保守契約スタイルの商品と多少異なってくる。

●競合は3ds Max
――ターゲットとしているユーザー層について
 ターゲットとするマーケットは変わっていない。会社の成長を考えると、ビジネスの成長は、成長しているマーケットを狙うことや、他のソフトからの移行するユーザーから成る。新しい市場の見込みとしては、ゲームは圧倒的に成長度合いの早い市場であり、トッププライオリティの1つである。世界のどこにいるかによるが、ゲームは毎年、年間15%の成長を遂げており、成長分野だとみなしている。映画も、より多くの映画がフルCGで作られるようになっており、重視している。これら2つは垂直市場だ。同時にテレビ番組にもツールを供給している。しかしテレビは停滞気味であり、さほど早い成長をしていない。今やろうとしているもう1つは、3ds Maxのユーザーには大きな混乱が見られる。多くの人は、他のパッケージを探しており、われわれがやろうとしていることは彼らに受け入れられるだろう、確かにわれわれのキーとなる特徴に興味を持つだろう。市場戦略としては、大きな変化は無い。ゲーム、映画に焦点を当て、テレビで努力する。競合するのは3ds Maxだ。

●他のソフトとの連携を支えるクロスウォーク
――クロスウォーク機能について
 クロスウォークはわれわれの戦略の重要な部分の1つだ。目指している進化は、製品に優れた点を持たせることだ。ソフトイマージの中ではキャラクターアニメーションがそうだ。そういった機能に出会ったとき、もし既存のMaxやMayaユーザーがその機能を使いたくても、パイプラインやワークフロー全体ではチャレンジしたくないことがある。そこでクロスウォークを進化させた。クロスウォークはMAXやMayaで動く機能の一部である。3Dシーンの中に、XSIを持ち込み、望むことは何でも出来る。 例えば、リターゲットするのにGATORを使ったり、アニメーションにレイヤーを使ったりもできる。それが終われば、オリジナルのシーンに戻すことができる。それが最も重要なワークフローで、3ds MaxやMayaを持っている顧客がシームレスにXSIを使える。そうすることで、1つの機能を使い始め、時がたてば、パッケージ全体がXSIに移行するだろうと自信を持っている。幸運を祈ろう。

●パイプラインのミックスも可能に
――顧客に最も訴求したい機能は
 人々が最も今求めているのは、よく統合された機能だ。それは面倒なタスクを早く処理し、大きなアイデアにする。人々はパッケージに強いインパクトを感じる。Getorがよい例だ。問題に取り組むなら、ゲームのパイプラインを考えれば、キャラクターのリグなどがあるだろう。最もチャレンジなパートはアートディレクターだ。彼らは「根本的に変えてくれ、頭もボディも違うふうに」という。こういうときに多くのパッケージでは、本当のはじめに戻ることを余儀なくされる。キャラクター全体をリギングしなおすなどね。それはアーティストにとっていらいらする。一度やったことをもう一度やり直すからだ。Getorで統合されたXSIのノンリニアなワークフローでは、ただ新しいリグを当てはめればよいだけだ。新しいキャラクターを作るのに、トポロジー(接続の形態)が既存のリグと同じかどうかは関係ない。すべての属性を移植すればよい。Gatorは素晴らしい機能だ。初めて見たユーザーは信じられない。そんなに上手くいくはずないってね。
 もう1つの重要な機能は、Motorだ。似た機能だが、アニメーションの転送が可能だ。
 クロスウォークについても少し触れておこう。パイプラインをミックスさせるときに必要になる。大きなパイプラインでは、レファレンスマネジメントシステムのDeltaがある。これはとても重要だ。複雑なシーンでは、小さい部分に分け、複数のアーティストが使えるようになる。作業中、この機能により、すべての変更点を外部からトラックでき、シーン全体で統合できるのだ。
 これは最もホットな機能の1つで、皆「これを使うためにワークフローを変えたいな」と望む。歴史的に、XSIはずっと強力なアニメーションシステムで知られてきた。アニメーションのレイヤーのトップに直感的に重ねられる。「部屋を横切る」「別の属性をトップにつけて揺らす」など、すべての属性を重ねられる。どう考えどう作業するかの表現だ。それはノンリニアと呼ばれる。単なる機能ではなく、ソフトウェアの設計哲学だ。

●リアルタイムに複雑な表情を生成
――フェイス ロボットについて。
 フェイス ロボットは非常にユニークな技術だ。CG業界のトレンドを見ると、ロバート ゼメキスが使うようなキャプチャーしてCGにするデジタル アクティングで見られる。そういったワーク フローは、フェイシャル アニメーションをリードする最も重要な人がいて、その人物を支えるチームがあり、素晴らしい作品を生み出す。
 フェイス ロボットの興味深いところの1つは、俳優をモデリングすることにある。ゲームの開発者たちは大きなボリュームを作ることに問題を抱えている。新しいゲームのプラットフォームではキャラクターの質はとても高い。ゲームでも映画のクォリティに近づいており、それをたくさんのキャラクターに施さなければならなくなっている。彼らはすぐにフェイス ロボットの機能を欲しくなる。
 以前のバージョン1.5では、ゲームのエクスポート パイプラインにより、映画レベルの複雑な頭部をつくるのに、ゲームエンジンでリアルタイムで再生できるレベルに下げられる。GPUが額のしわや口の周りや目を作るのに役立つ。とてもパワフルだ。SIGGRAPHで公開するのは、さらに進化したバージョン1.8だ。ソフトウェアのデジタル アクティングや、ゲームのエクスポート パイプラインが有利になるだけでなく、新しい機能を追加した。それは、すべての知性、フェイス ロボットのリグがエクスポートでき、Mayaや3ds Max、XSIのパイプラインにつなげられる。フェイス ロボットを、より簡単に既存のソフトのワークフローに追加できるということだ。とても興奮している。これはカスタマー誘導型の機能で、数多くのゲーム業界で望まれており、1.8を投入した。

●27パートからなるトレーニングビデオを提供
 また、これは全く新しい作業の仕方だ。顔のキーフレームアニメーションに慣れてはいるが、顔を扱うとき、皮膚や筋肉の動きはつながっていて、人々にとって異なるワークフローだ。そこで、27のパートからなるトレーニングビデオを作った。これにより、初期のトレーニングができ、組織に知識を広めることができる。私たちはフェイス ロボットの進展に喜んでいる。世界中で次の世代のアニメーターへのトレーニングが始まっている。さきほどロバート・ゼメキスについて触れた。彼はUSCの講座で、ドイツのフィルムアカデミー、韓国の2つの大学、オーストラリアでも教鞭をとっている。彼らは新しいワークフロー、新しい技術を教えようとしている。
 アカデミックマーケットはソフトイマージにとって総体的になってきている。ほかの部分は、フェイス ロボットを適用した。トレーニングのカリキュラムにもこの技術を入れ、デジタルアクティングの新しい規範を教えており、このパートがとても重要になってきている。なぜなら、通常のコミュニケーションと同様、人は言葉より
 人々はキャラクターを使って感情を表し、ゲームを進めるヒントを与えている。だからフェイス ロボットこのような反応があったのだろう。伝統的な手法ではコスト的に手が出せない。フェイス ロボットを使えば、ゲームに新しいエレメントを加えられる。言葉より伝えたいことを伝えられる。武器よりね。

●専門分野に特化したツール フェイス ロボット
――フェイス ロボットをXSIと別にしたねらいは
 XSIは幅広いパッケージで、3DCGアニメーションを制作する際の基本ツールになるが、3DCGツールの市場は熟してきている。これまでは、全てが一つのパッケージに入っているということが求められてきた。しかし、新しいワークフローでは、人々は個々の得意分野の最高の機能を必要に応じてミックスできるツールを望んでいる。フェイス ロボットを作るとき私たちは始めて、1つの専門領域を対象にした最高のツールにしようとした。フェイシャルアニメーションが得意ではなかった人たちにそれを提供することによって、ユーザー自身も、そしてツールも同時に成長していこうと考えた。それが戦略的な要素だ。ユーザーの成長に応じて変化するニーズを吸収してツールを進化させれば、専門的にも最高のものになる。今やフェイス ロボットは機能としてMAXやMayaなどの上位にある。これまでパッケージツールを提供してきたソフトイマージにとって、これは大きな発想の転換だといえる。

――フェイス ロボットとXSIの統合は?
 ある意味では両者は1つの製品だといえる。異なるアーキテクチャーを同時に動くようにするのは難しい。フェイス ロボットはXSIのコアに基づいたアーキテクチャによるスタンドアロン製品だ。XSIとは完全な互換性があり、他のパッケージとも出来る限り連携して使うことができる。フェイスロボットは、強い基礎技術をベースにしながら、違う方法で進化したツールといえるだろう。
 今後、フェイス ロボットがバージョン2や3に進むにつれ、メインパッケージに入る可能性はあるが、現状では統合によるメリットは見いだせない。ハイエンドのフェイシャルアニメーションで、フェイス ロボットが提供するマーケットは、最上級クラスのゲーム、フィルムだ。これらのマーケットには特別なツールが必要であり、すばやくカスタマイズできるツールが必要だ。その中でも、フェイシャル アニメーションは特別な機能であり、パイプラインの中でもスタジオの10%の人間しか関わっていない部分になる。そのため、今のところはスペシャリスト用のツールとして独立していることに利点があり、パッケージに入れることのメリットはあまり大きくないだろう。また、すでにフェイス ロボットの機能の一部の基本的な機能はXSIにある。

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