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サイモン・ヘイハースト氏 インタビュー
2007.08.30







 サイモン・ヘイハースト氏は、アドビのダイナミックメディア・プロダクトマネジメントディレクター。カリフォルニア州サンノゼのアドビ本社の会議室にてAdobe Media Player、Creative Suite CS3、アドビの将来の展望などについて聞いた。ノーネクタイで会議室に入ってきたヘイハースト氏はとてもきさくなイギリス人。アドビとその製品について情熱的に話してくれた。

●消費者が本当に求めるテレビを実現
 Adobe Media Playerが融合の進み続けるメディアの中でどのような役割を果たしていくかについて、ヘイハースト氏は視聴者、放送事業者、ネット制作者の3つの立場からの視点を説明し、誰もがMedia Playerの恩恵にあやかれることを説明した。
 消費者としてテレビを視聴する時、自分が興味ある題材についてどのような番組があるか調べてみようと思う。そうするとたとえば、フジテレビ、NHK、ABC、CNN、BBC、YouTube、また友達が教えてくれたサイトに行く事もある。結局15から20のサイトを行ったりきたりする結果になってしまう。またテレビのスイッチを入れて、自分が気に入る番組に当たることを願うばかりだ。Adobe Media Playerはインターネット上で消費者が見る番組を分類し、その消費者が好みそうな番組を提案してくれる。
 放送事業者としては、競合ではない企業と手を組んでウェブへのアクセスを増やして行きたいと思うのが常。たとえばマイクロソフト、アップル、YouTubeなどは、テレビにとって変わるサービスを広い観衆にウェブで提供できるようになるだろうと言われているが、プラットホームやスタンダードの違いがある。アドビは過去からプラットホームやスタンダードに関しては競合しない、オープンなアプリケーションを開発してきた。ネット制作者にとってはオープンスタンダードで一つのインターフェースで作業できるので、制作者にとって大きなメリットだ。
 またAdobe Flash Media Serverはコンテンツを誰がどこで何時に何人視聴しているのかを把握できるのでは、広告主にとって効果のあるマーケティングを実施することができる。
 アドビにとって非常にエキサイティングなのは、Adobe Media Playerがインターネットで消費者が本当に求めているテレビを提供することが実現できることだという。

 アドビの将来の方向性については「メタデータのことしか考えていない」(ヘイハースト氏)と言っても過言ではないほどメタデータに重点をおいているという。現在YouTubeで公開されているビデオの説明は平均2.2単語という意外な事実もあり、アドビはコンテンツクリエーターたちがいかに効率的に映像に伴うメタデータを作品に埋め込むことを可能にするかが課題だ。

●ハネムーンベビー「CS3」
 ヘイハースト氏曰く「アドビとマクロメディアが結婚してハネムーンにでかけ、すばらしい子供を作って戻って来た」のがAdobe Creative Suite CS3だ。CS3の提供により、クリエーターの制作環境にどのような革新をもたらすかについて、まず各アプリケーション間のバリアがなくなったことが、制作の効率化が顕著によくなることを強調した。CS3が実現するワークフローはマックユーザーに非常に魅力的なのか、マック版の売れ行きが予想を遥かに上回る勢いだという。しかし、制作の効率化の恩恵を享受することは、もっと多くのストーリーを伝えることができるようになることにつながる、とヘイハースト氏は述べた。制作が効率化することは人材削減という結果になるという懸念は無用、と強調した。
 このような状況の中で、クリエーターが生き抜いていくためはどのような技能を習得していくべきかという問いに、ヘイハースト氏はバリアのなくなったツールをすべて同様に使いこなすことは求められていないと思う、と答えた。もちろん一つのツールだけを習得し、その他のツールがどのように動くかわかっていなければならないが、と付け加えた。

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