Ontology

“存在論(Ontology)”という詩をGoogle Translateによる自動音声が読み上げる。プログラムによって生成され人間が理解できる音としてアウトプットされた「存在」が曖昧な声はスピーカーによって実空間で再生され、さらにマイクによってコンピュータへフィードバックされる。音と存在のフィードバックの中で人間の感情の表出を試みた作品だ。私たちの日常でも、SNSでは存在しているかどうかわからない「友達」からの申請が後を絶たないし、一日に何通ものスパムメールが届く、それに憤るとき、その対象は実在することないコンピュータのプログラムが作り出した存在に対して苛立ったりしているわけで、本作はそういった今日のコンピュータと私たちの関わりからみても興味深い。
(萩原俊矢)

大野 茉莉
東京藝術大学大学院
サウンドアート