チドリ

何かパンキッシュな雰囲気があるところがとても良い。この作品を組み立てているのは、ちどり模様やごく平凡なカップルなどとてもちっぽけなものばかりなのだが、そのちっぽけさが魅力的な光をがしゃがしゃと騒がしく放っている。全画面再生ではなくてタンブラーに埋め込まれた小さなスクリーンで観ることが似合う、その佇まいも面白いと思う。ちっぽけなもののなかに潜在的する大きなスケールを発見し、ちっぽけさをちっぽけなままに留めながらそのスケールを愛おしく浮び上がらせるそのやり方は、いまのアニメーションではあまりお目にかかれないものなので、逆に言うと理解されづらいアプローチをしているといえるのかもしれない。でも去年も今年もそれをやり遂げつづけていて、そこにパンクのようなアティテュードを感じてしまうのかもしれない。出力された作品のなかにいろんな感情がごちゃまぜになっているところもまた。
(土居伸彰)

山中 澪
神戸大学大学院
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