肛門的重苦 Ketsujiru Juke

他のどの作品にも似ていない、という点が1番記憶に残っています。ドラッギーな色彩感覚と、ナンセンスなストーリーテリングが通底しているのですが、そこに登場するキャラクターが悲しみを抱えているように見える。それはなぜだろうと考えながら、コンセプトを読んで、1つの愛の終わりが生んだ作品だったことがわかり、納得しました。作者にとってある種、感情のデトックス的に制作された作品だと思われますが、それが観覧者にとっては「ちゃんと」エンターテイメントとして楽しめるものになっているところが、この作品の強みであり、作者が必然性を持って制作したことの確かな証だと思っています。
(武田俊)

大いなる力によって、永遠に繰り返される差し潮と引き潮。
日々少しずつ変形していく意識と無意識の海岸線。
あの人は門を開いた、吐き出した。
一番暗くて、深いところから揺れ来る、逆立ちの波を。
私の風景は変わってしまった。
あの日、亡くなってしまった心、
忘れることなどできない。
(馬定延)

冠木 佐和子
多摩美術大学
アニメーション