時間
Henri
(2作品)

この二本の作品を観て、抵抗とか拒否とかそういう言葉が浮かんだ。何に抵抗し何を拒否するのかといえば、時間が流れていってしまうことだと思う。両方の作品に、作者が自分なりのやり方で時間を刻みなおそうとした痕跡が見える。『時間』に顕著だが、実験室内部のように隔離された環境で、時間が純粋に培養され、出口を失って滞留したり機械で容赦なく削られていくような感覚がある(現在形、過去形、現在完了形…)。『Henri』は時間の経過に付随せざるをえない成長というものを拒絶することで、純粋に変容のみが展開する突然変異が起きている。私たちが無自覚に甘受してしまいがちな時間から、その根本的な能力を殺してしまったような、単純に強くて、怖くて、かっこいい二本。
(土居伸彰)

前田 結歌
東北芸術工科大学大学院
アニメーション