CYCLOID

主人公のみた夢であろうか。カメラはドリーバックして地球上の様々な光景を映し出す。そこには景色とともに人々の営みや、動植物の息吹、自然の雄大さが3分強の短い尺の中に凝縮して描かれている。技術の進歩により地球は狭くなったと言われるが、それでも他所で起こっている様々な出来事は対岸のそれとしか受け止めれないように思われる。シンプルなドリーバックのみで地球をぐるりと1周回ったかのような体験を観たものに与えることで、技術では補えない地続きな地球を喚起させてくれた。手塚治虫の「ジャンピング」を彷彿とさせる本作は昨今のアニメでは敬遠されがちな奥行きの移動のみで挑んだ意欲作であり、考えるきっかけを与えてくれた。
(豊嶋勇作)

作画も動画も非常にクオリティが高い、特に背景の描き込みと対照的な無国籍なキャラクター表現もとても良い雰囲気を出していると思います。様々な地域や人や状況が映し出されるが、全てが同じ時間を共有しており、グローバルな視点で様々な問題点を考えるキッカケになりうる作品だと思います。
(小村一生)

黒木 智輝
九州大学大学院
アニメーション