camera

作者によると、この作品で「作者(私)は、この観客へ自己投影し、死に場所を探しに行く。」のだそうだ。リアルタイムに起きる現象を映像などの形でメディアに記録することは、リアルタイムな時間を決定的に過去の時間へと断絶させてしまう。確かにそれは死ぬことと近いのかもしれない。被写体から魂が抜かれるのではなく、写真や映像に映った「像」から「魂が抜かれる」と捉えるならば、写真や映像に撮影されると「魂が抜かれる」という迷信も、決して間違いではないと言える。この作品からは観客(私)の前にあるスクリーンに映る、外界からリアルタイムに入り込んでくる無分別で生な映像を、どのように「殺す」かという、乱暴で、とても誠実な葛藤を感じる事が出来る。
(谷口暁彦)

橋本 祥吾
東京藝術大学大学院
映像