アリスの部屋

ドット絵アニメーションは細部にまで作者の熱量が宿る(宿らざるを得ない)手の抜けない手法であるので、そこに取り組む勇気があったことがまず素晴らしい。やり遂げてしまえば、この作品のように、あらゆる部分に作り手の配慮と熱量が宿るアニミズム的空間ができあがる。ただそのアニミズムは歪んでいる。ポール・ロバートソンの作品がギラギラと滾らせているようなフェティッシュ的な感覚も備えているからだ。この作品の場合、ループという再生方式がとても効果的であるように思える。何度も観ることを要求する膨大な情報量が詰め込まれていることもそうなのだが、何度も観ることを正当化するだけの根拠がグラフィックのなかに宿っているのが何よりも素晴らしい。
(土居伸彰)

中村 朝羽
宮城大学大学院
アニメーション
作品掲載サイト
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