第10回学生CGコンテスト
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静止画部門 動画部門 インタラクティブ部門 U-18賞/技術賞
審査委員会
 

審査総評

審査委員長:源田 悦夫
(九州大学大学院 教授)
 メディアテクノロジーの進展は、我々の創造能力とコミュニケーション能力の拡大をもたらした。こうした背景のもとに学生CGコンテストでは、学生らしい自由な発想と大胆なチャレンジ精神をもった、意欲的なメディアアートの作品の募集を毎年行っており、今年で10回を迎えた。今回の特徴は、映像作品の飛躍的な増加とともに、大学・大学院の学生の応募の拡大とそれに伴うレベルの向上があげられる。これは、高品位で高度なデジタル編集が手軽に行われるようになったことや、静止画の制作過程においてアニメーション的な思考に基づいた検討がなされることが多く、動画化が比較的容易であることなどが起因しているものと思われる。また作品の制作においてはCGの特徴である論理的で手続き的な思考が求められ、デザインや芸術関連学科の学生であってもこうした能力が不可避であるとともに、理系の専攻であっても、芸術的な感性を持ってアプローチすることにより高度な作品の制作が可能であることを示している。
 静止画部門では、制作された作品の完成度を重視するか、作品に至るプロセスを重視するかを最終的には問う形となった。また単一の作品ではなく、複数枚の構成からなる作品も多く、応募の形態を工夫したものもみられた。動画は記号的な意味や構文性をとらえたもの、ストーリー性や表現性を重視したものが上位に残った。アルゴリズムを背景とした作品も増加しているが、編集や表現力において更なる向上が求められた。
 インタラクティブ部門では入出力に関する制作を伴うため、応募数は他部門に比べて少ないものの広範な応募がありハイレベルで激戦であった。最終的にはインタフェースを介して日常的な時空間を新たな空間感覚や体験を形成させる装置としての作品が選抜されている。またインタラクティブの解釈が曖昧な部分があり、選択枝による作品は他部門で扱ってもいいのではないかという意見もあった。各分野とも上位のレベルは確実に向上しており、世界レベルでの評価にも耐えうる作品もみられた。
 このコンテストはCG-ARTS協会の検定試験、教育カリキュラムや標準テキスト整備などの活動とともに一体化して進められており、我が国の画像文化の振興や向上を目指して実施されている。これは、我が国の重要な戦略として位置づけられコンテンツの創造、人材の育成に具体的に貢献するものであり、今回のコンテストの成果は着実にこれを実践するものであると思う。
審査委員会メンバー・プロフィール
源田 悦夫 源田 悦夫(審査委員長・九州大学大学院 教授)
東海大学助教授を経て1992年九州芸術工科大学教授。03年より九州大学大学院教授。メディアテクノロジーを基盤とした情報デザインについての企画・制作とともに、メディア芸術・デザイン教育についての研究に従事。CG-ARTS協会評議員、カリキュラム・テキスト委員会委員長。

岩田 洋夫 岩田 洋夫(筑波大学 教授)
1981年東京大学工学部機械工学科卒業、86年同大学大学院工学系研究科修了(工学博士)。93年より筑波大学助教授。触覚などの身体的な感覚を活用するメディア技術の研究を行う。バーチャルな物体の硬さや重さを手に伝える装置や、バーチャルな建物を歩く感覚を足に与える装置を制作。94年より8年続けてSIGGRAPHに出品する傍ら、96年と01年にPrix Ars Electronica入賞。

内山 光司 内山 光司(インタラクティブクリエイティブディレクター)
1984年電通入社。01年株式会社ワンスカイ設立、取締役兼クリエイティブ・ディレクター。
広告や映像制作の他、主に広告キャンペーンの分野でウェブサイトのディレクションを行う。東京インタラクティブ・アド・アワード グランプリ、ONE SHOW Interactive Gold Pencil、2度の文化庁メディア芸術祭優秀賞等をはじめ受賞多数。

塩田 周三 塩田 周三(ポリゴン・ピクチュアズ代表取締役)
1991年新日本製鐡株式會社入社。ビジネスコンサルタントを経て、97年5月ドリーム・ピクチュアズ・スタジオの立上げに参画。99年3月ポリゴン・ピクチュアズ制作部長、03年6月代表取締役就任。日本のみならず海外マーケットを積極的に開拓。04年末からはAardman AnimationsとCGTVシリーズを製作予定。Prix Ars Electronica, SIGGRAPH等、国内外の審査員を歴任。

杉山 知之 杉山 知之(デジタルハリウッド大学院 学長)
1979年日本大学大学院理工学研究科修了後、理工学部助手。87年MITメディア・ラボ客員研究員、90年国際メディア研究財団・主任研究員。94年デジタルハリウッドを設立し、クリエイターの育成、インターネットビジネスの発展に力を注ぐ。創立10周年となる04年「デジタルハリウッド大学院」を設立。99年度デジタルメディア協会AMDアワード・功労賞受賞。著書に「デジタル書斎の知的活用術」(岩波アクティブ新書)、「ポストITは日本が勝つ!」(アスキー) 他。

原田 大三郎 原田 大三郎(CG作家・多摩美術大学 教授)
1983年、筑波大学大学院芸術学部総合造形コース卒業。坂本龍一、安室奈美恵、小室哲哉、globe、LUNA SEAなどの国内外コンサートツアーやプロモーションビデオの映像演出、また映画のオープニング映像やVFXなどを担当。93年、NHKスペシャル「驚異の小宇宙 人体2 脳と心」CG監督。94年 第1回日本芸術文化振興賞 受賞、マルチメディアグランプリ '94 MMA会長賞 受賞。01年5月より SHARP「AQUOS」VP制作。現在、多摩美術大学情報デザイン学科教授。

樋澤 明 樋澤 明(凸版印刷株式会社 情報ビジネス開発本部 部長)
アートディレクター。1974年凸版印刷入社。92〜94年のトッパンアメリカ駐在後、96年デジタル工房GALAを開設し、印刷、CG、VR、デジタルアーカイブなどの表現開発を行う。99年マルチメディアグランプリ特別賞受賞。02年アジアデジタルアート大賞受賞。共著「デザイン事典」(平凡社)、「ビジュアルデザインNO.1」(六耀社)など。武蔵大学客員教授、武蔵野美術大学非常勤講師。

森山 朋絵 森山 朋絵(東京都写真美術館 学芸員)
筑波大大学院在学中から写真美術館の創設に携わり、早稲田大学大学院、東京大学で教鞭を執りつつ「イマジネーションの表現」、「アニメーションズ−過去から未来へ」、「映像体験ミュージアム」など多数の映像メディア展を企画。共訳「写真の歴史」(美術出版社)、「絵コンテの宇宙」(美術出版社)、連載「映像の原点・十選」(日本経済新聞)他。Ars Elecronica 03・04インタラクティブアート部門審査員。03年度文化庁在外派遣研修員。日本VR学会評議員。

森脇 裕之 森脇 裕之(多摩美術大学 助教授)
メディアアーティスト。筑波大学大学院芸術研究科デザイン専攻修了。LEDなどの光るパーツを用いたインタラクティブなインスタレーション作品で知られ、代表作は91年「レイヨ=グラフィー」、95年「夢を見る夢を見た...」(ARTEC'95準グランプリ受賞)、96年「Geo-Sphere」(ロレアル奨励賞受賞)など。また98年「記憶の庭」(マルチメディアグランプリ アート賞受賞)、01年「時花(トキハナ)」(水戸芸術館開館10周年記「宇宙の旅」展)などで、メディアを用いたインスタレーションを展開する。

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CG-ARTS協会