第9回学生CGコンテスト ■静止画部門■インタラクティブ部門■U-18賞
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動画部門 受賞作品

最優秀賞
「ホーム」
青木 純, 恵土 敦, 小柳 祐介, 八山 健二 (東京芸術大学 美術学部 デザイン科 2年)
 
ホーム


(約14.4MB/3分00秒)

[講評]
この作品は、いわゆるクレイアニメーションと呼ばれる作品だが、他のクレイアニメーションと一線を隔す点はなんといっても群集シーンを描いたことに尽きる。その圧倒的な作業量は尊敬の念に値する。そして、その努力によって描かれた少々ブラックユーモア的センスを含んだ世界は、見る者をグングン引き込んでいく。作者の演出家としての確かな視線があったからこそ成し得たことなのだろう。とにかくこの作品は理屈抜きに面白いのだ。また、本作品が最優秀賞を受賞したという事実は、学生CGコンテストが、時代とともに変化していこうと模索している中で、エポックメイキングが出来事として記憶に留められることになるだろう。
[受賞コメント]
「ホーム」は、仲間4人で力を合わせ、ひと夏かけてやっとの思いで作り上げた僕らにとって初めての立体アニメーションで、技術的な事を始め何もかもが手探りの状態でした。制作中は楽しいことも苦しいことも山ほどありましたが、今回このような素晴らしい栄誉を頂き、全てが報われた思いです。この受賞を励みに、これからも見る人を楽しませる作品を作って行こうと思います。ありがとうございました。
 

優秀賞
「MICROCOSM」
高山 穣 (九州芸術工科大学大学院 芸術工学研究科 1年)
 
MICROCOSM


(約14.8MB/2分59秒)

[講評]
オリジナルプログラムを用いることで独自の世界を創り出した作品である。既存のアプリケーションによる作品制作が多い中で、作者の作品に対するこだわりとオリジナリティが感じられる。次々と繰り出されるイメージは、まるで顕微鏡を覗いて結晶や微生物を見るようであり、それでいて何かにコントロールされているという不思議な感覚を覚える。落ち着いた色調、ゆるやかでリズムのある動きが心地よい。作者の意図通りにミクロな世界を感じさせる素晴らしい作品になっている。

[受賞コメント]
優秀賞をいただき大変光栄です。私はかねてよりプログラミングによる造形制作を行なってきました。本作品は、そのテーマとして微生物という自然造形を扱ったものです。実際に顕微鏡を用いた観察も行ない、自然物が創り出す造形美の奥深さに触れられたことが作品の表現力を増すきっかけになったと思われます。今回の受賞を励みに、今後とも意欲的に制作を続けていきたいと思います。
 

優秀賞
「Lights」
須藤 悠 (慶應義塾大学 環境情報学部 3年)
 
Lights


(約3.9MB/54秒)

[講評]
短い時間の中で笑いを誘う、よく考えられた作品である。編集やサウンドの完成度にも注目したい。過去のCG作品を研究した上で制作されたような感じを受けるが、作者が1分にこだわるだけあって、短い時間の中での映像のカット、オチのタイミングなど計算し尽されているといえよう。アニマティクスの制作を行っていることからも伺えるように、短編ながら作者の映像に対する思いが伝わってくる。空間の構成、キャラクターの動き、レンダリングなど、CG作品として完成度が高い作品である。

[受賞コメント]
このような大きな賞をいただき、本当にうれしくて胸がつまる思いです。もう苦しくて、苦しくて、賞の大きさに押しつぶされそうです。これも手伝ってくれたスタッフの方々、そしてなによりトーマス・エジソンさんのおかげです。電球をありがとうございます。もう蛍光灯なんて使いません。
 

佳作
「ゲートボール」
川島 高 (慶應義塾大学 環境情報学部 4年)
 

ゲートボール


(約18.2MB/3分49秒)

[講評]
エンターテイメント作品として、学生とは思えない高い完成度を持つ秀作。CGの使いどころ、実写との馴染ませ方の熟練度、映画的な文脈の中に効果的に馴染ませるセンスは驚くばかりである。しかもCG技術のみならず、ショートフィルムとしての完成度が極めて高く、構成、演出、編集、カメラワーク、キャスティングに到るまで、非凡な才能を感じさせる。エンディングまで楽しませようと手を抜かない姿勢も良い。

[受賞コメント]
この作品を共につくりあげてくれたスタッフ、キャストの皆に感謝しています。このような名誉ある賞を頂いたことと同時に、何よりもより多くの人に自分の作品を見ていただける機会を得られたことにとても喜んでいます。
 

佳作
「360°BLEND」
丸山 紗綾香 (東北芸術工科大学 デザイン工学部 情報デザイン学科 4年)
 
360°BLEND


(約16.6MB/3分30秒)

[講評]
この作品に惹かれるのは、CGという映像の表現技法の原点とも言える「視覚そのものがびっくりする」感覚を刺激するからであろう。3Dと2Dが交錯する映像は、人間が本能的に保とうとする「バランス感覚」に揺らぎを与えることに成功している。色彩に赤と黒という、これも視覚レベルで人間が強く反応しやすい色を選択し、ストイックと言えるほどミニマルに構成していることも、作者の意図をより明確に表現している。

[受賞コメント]
この作品は一見すると平面ですが、本当は立体で視点を変えながら映像が展開していきます。モデリングに時間をかけたり、リアルな質感を出すことは目的としていません。「今観ているものは2Dなのか3Dなのか」と、目が回るような感覚に陥ってもらいたいと考え、構成に多くの時間と労力をそそぎました。この作品が評価されたことをとても嬉しく思います。
 

佳作
「Systematic!」
柘植 成文 (東北芸術工科大学 デザイン工学部 情報デザイン学科 4年)
 
Systematic!


(約18.6MB/3分44秒)

[講評]
「走り続ける人」というテーマでCG映像を作ると、退屈なものになりがちなのだが、この作品が約4分の映像を最後まで見せきることができるのは、作者の力量と製作に費やした努力の賜であろう。実際、画像を構成する様々なパーツは極めてシンプルなオブジェクトの組み合わせであるのだが、その質感、動きなどにいちいち妥協が無く、時間をかけてよく練り込まれているのが伝わってくる作品である。

[受賞コメント]
うれしいです!取れるとは思っていなかっかったので二重の喜びです。この作品を作っているときは他の一時間の劇映画を仲間で撮っているときでかなりハードなスケジュールの中の制作だったので報われた感じがします。ありがとうございました。
 

佳作
「接触」
高田 優子 (東北芸術工科大学 デザイン工学部 情報デザイン学科 卒業)
 
接触


(約7.2MB/1分34秒)

[講評]
これぞ学生ならでは、と言える見る者の意識の不意を突く作品である。そして、その仕掛に気付いた瞬間、誰しも映像に引き込ませる力を持つ作品である。作者の狙いを映像で語りすぎようとしていない点が、かえって見る者に「意味」を考えさせる効果を生み、作品に深みを与えている。BGMの「ジェシカ」もにくい選曲で、それさえ作者の意図が潜んでいるのではと、つい思わせてしまう。

[受賞コメント]
楽しんで作った作品をこのように評価していただいてとても嬉しく思います。自分の世界観をより一層表現できるよう、これからも作品を制作していきたいです。有難うございました。 
 

佳作
「Tools」
田村 忠士 (宝塚造形芸術大学 造形学部 映像造形学科 卒業)
 
Tools


(約25.4MB/5分00秒)

[講評]
コマ撮りのパペットアニメーションとデジタルキャラクターの競演(合成)に挑戦した意欲的な作品である。パペットとCGキャラの競演というアイデアそのものが斬新であることに加え、物語の構成・演出にも見応えがある。作品そのもののテーマでもある、「デジタルであること」「アナログであること」それぞれの特性、そして意味と価値の違いを、アニメーションの技法を使って上手に表現することに成功している。

[受賞コメント]
この度は学生CGコンテストにて受賞できたことを大変うれしく思います。この作品の持つ"粗"が示すように自分自身まだまだ未熟ですが、沢山の方々に批評され受け入れることで成長していきたいと思います。また成功にとらわれることなく、これからも変わらぬ努力を続けていきたいと思います。ありがとうございました。
 


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