第7回学生CGコンテスト
審査講評
大平審査委員長
第7回を迎えたこのコンテストには,静止画部門924作品、アニメーション部門155作品、インタラクティブ部門70作品の合計1,149作品の応募があり、昨年より458作品も増加しました。審査は一次、最終と2回にわたり、厳正に行われました。以下に審査員諸氏のコメントを集約します。

応募された作品はバラエティに富み、全体のレベルも着実に上がっているように思われます。そのため、最初には予定していなかった準入選という枠を設けざるをえませんでした。特にインタラクティブ部門やアニメーション部門は、プロの作品と比べても遜色のない作品が多かったとの感想が複数の審査員から上がっています。また、応募者がアート系だけでなく、情報、工学系の学生の参加が増えてきたことも喜ばしいことです。
しかし一方で「ツールに使われている」作品も数多く見られました。ここでもう一度「コンピュータグラフィックスとは何か」を考えてみましょう。

コンピュータグラフィックスはコミュニケーションにおいて高度な視覚化のツールであり、コンピュータによって表現された2次元画像や3次元画像は、良質なコミュニケーションのみならずその情報の生成法にも大きな貢献をしています。
建築設計や工業製品の設計に用いられているCADデータをベースにして、質感や色調を付けたフォトリアルな3次元CGは、開発や検証そして生産のための様々なシミュレーションに多く使われています。同時にそのデータの二次利用として画像処理を加えたに印刷データや映像等にも展開しています。
パッケージの世界では、2次元CGと3次元CGの組み合わせにより、容量や物流までも考慮した形状デザイン、つまりグラフィックデザインから製造までを一貫した工程で行うシステムも働いています。
またデータベースという観点から見ると、美術館や博物館に収められている人類の有限の資産である収蔵物の写真や形状などをデジタル化し、アーカイブ化する新しい動きが世界的に起きており、現存しない空間や人間の動きを極めて精度の高い3次元データ化し、後世に残す方法も研究されています。情報の流通という視点で見ると、コンピュータグラフィックスは他メディアへの展開や電子配信を目的にした技術としてますます重要に、そして変容していくでしょう。

ここで敢えて、コンピュータグラフィックスというツールが、現在様々な産業世界でどのように使われているかを述べたのは、今回応募された作品の多くがいわゆるアートを指向したグラフィックデザインやイラストレーションの範疇であるからです。将来様々な産業分野での表現者や開発者に育っていく学生諸君には、もっと視野を広く持って頂きたいと思います。つまり、コンピュータグラフィックスの活用方法や制作のプロセスも、作品の重要な要素であるという認識を持つことが大切です。
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静止画部門
とても高度な技術を駆使していても表現に反映されていない、つまり専門家でないとその良さが分らない作品がある反面、一般的な技術だけしか用いていなくてもアートとして優れた表現の作品もあり、それらを静止画というカテゴリーでくくるのは難しいと感じました。その意味で、テクニカルな要素とアーティスティックな表現の要素の両方を兼ね備えた作品はまだまだ少なく、今後に期待したいと思います。
アニメーション部門
今回のアニメーション部門は全体的に質の高い作品が多く、表現からみてもバリエーションに富んでいました。そのため例年2作品の優秀賞を3作品に増やしてやっと受賞作品が決まりました。また、最優秀賞作品と優秀賞作品の差は小さかったと思います。受賞作品を見ると分ることですが、アプリケーションソフトのオペレーション技術の習得が目標ではなく、この時代のCG表現に対する作者の制作姿勢、それが作品に大きく反映されたものこそ、見る者に感動を与えるということです。その点で受賞作品は優れた作品といえます。
インタラクティブ部門
今年のインタラクティブ入賞作品の技術的レベルは前年までに比べて非常に高いと感じました。アニメーション部門同様DIRECTOR / FLASH などのアプリケーションソフトで完結することのない作品も数多く登場し、かなりのインパクトがありました。
U-18賞
学生にも年齢に幅があるため、18才未満の若い作者の優秀な作品を表彰しようという意図で「U-18賞」が今年から設けられました。
しかしながら、この賞を作る必要はなかったと思わせるほど、年齢差を感じさせない優秀な作品が集まりました。
応募状況


静止画部門 924作品
アニメーション部門 155作品
インタラクティブ部門 70作品

合計 1,149作品