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ニュース、ドラマ、バラエティーと、さまざまなテレビ番組のなかで多彩なコンピュータグラフィックスの技が駆使されている。株式会社フジテレビジョン 技術開発局の設備運用部は、今や番組に欠かせないものとなったCG制作やネットワークを技術的にサポートする役割を担っている。CGシステムエンジニアとしてCG制作部門を支える設備運用部が求める人材と、「CGエンジニア検定」「マルチメディア検定」を推奨する理由をうかがった。
私はフジテレビの設備運用部に所属するエンジニアです。設備運用部は、コンピュータグラフィックスを制作する部門が使うハード、ソフト、ネットワークなどの設計・管理を行っています。また、私にはプログラマーの経験がありますので、CG制作を手伝いながら、現場に役立つインハウスのツールも自分でつくっています。2009年にフジテレビが発売した分散レンダリングソフト「RENDER SRICE」は、こうしてつくったツールを流用して製品化したもので、うれしいことに現場の仲間から好評を得ています。
現在CGは、ニュース、ドラマ、バラエティー、天気予報など、あらゆる番組で使われています。私たちの具体的な役割は、こうしたCGを制作するデザイナーの要望を聞き、求めるデザインができるようにハード、ソフトの両面でサポートすることです。さらに、今の番組だけを考えていてはいけません。CG技術はどんどんレベルアップしていくので、その技術を駆使するための設備もどんどんハイレベルになっていきます。そこで、一年後、二年後の制作環境を見据えて、インフラを整えていくのも私たちの仕事です。
CGシステムエンジニアは、CGデザイナーと協力し、CG制作をサポートするわけですが、そんな私たちに求められるのは、専門知識とコミュニケーション能力だと思います。デザイナーが何を求めているのか、そのためにはどういうことをしたらよいのかをデザイナーと話合いながら、相手の言葉の奥にあるもの、本当にやりたいことを聞き出す能力が重要です。そのためには、ふだんからデザイナーを含むスタッフと冗談を言ったりムダ話をしたりして仲良くなる、というような社交性や交流力も大事です。 そして、その前提にあるのが専門知識です。この業界は、業界用語・専門用語が多いので、専門知識があると話も早いし、誤解を避けることができます。専門知識が共通言語のような役割を果たすわけです。その意味で、『マルチメディア検定』『CGエンジニア検定』などを取っておくと、自分の自信になりますし、ちゃんと専門知識があるとわかるので、周りからも信頼されると思います。現在私の下にいるCGシステムエンジニアの二人、遠山と中山も学生時代にこれらの検定のベーシックに合格していますが、それを最初に聞いたときには「ここまでの専門知識は確実にもっているな」と、安心感をもちました。 基礎知識をきちんともっているということは大前提で、CGエンジニアには、「物事をきめつけない柔軟な気持ち」が大事だと思います。答えが一つみつかっても、他に何か方法がないかと一歩立ち止まって考え、少し別の方法を考えてみるゆとりをもつことです。 CGはつくり始める前が大事で、考えているときはリラックスしてゆとりをもって、ゆっくり考えたほうがよいと思います。リラックスして、たくさんのアイデアが浮かんでくるのをつかまえているときと、段取りを決めて集中して全力でつくる時のメリハリが大事です。 検定試験を受けると、社会的なものさしで測った自分の実力が客観的な数字になって出てきす。自分の力が今どのくらいのレベルに到達しているのかを知るのは、とても大事なことだと思います。試験のために勉強するのもよいことだし、下の級に受かったら一つ上の級をめざしてがんばることも大事だと思います。漠然と勉強しようと思っても何から手をつけてよいかわからないと思いますが、「この検定を受けよう」という目標が具体的に決まると、勉強のプランも具体的に立てられますから。そして、結果を見て自分のレベルがわかれば、それは大きな自信になりますし、他人から見ても、「知識をもっているんだな」という信用になります。 この業界で経験を積んできた人のなかには、「いまさら検定合格なんて必要ない」と思う方がいるかもしれませんが、業務が専門化すればするほど、自分に得意な分野と不得意な分野ができてくるものです。受験勉強をすれば自分が不得意な分野がわかり、そこを勉強し直すことで、知識の偏りを無くすことができます。 僕が検定(CGエンジニア検定1級 現在のエキスパートの上の級)を受けたのは1994年なので、フジテレビに転職する前の時代です。当時転職を考えていたわけではないのですが、そこで1級を取っていたということが、転職してもやっていけるかなという自信につながった面はあるかもしれないですね。自分が映像の業界に入りCGの専門知識を使って仕事をしていこうと考え、「うまくやっていけるかな」と不安を感じたときに、1級があるというのは自信につながったと思います。 テレビの映像、テレビのCGに興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ遊びに来て下さい。「テレビの世界には、こんなCGの仕事があるんだ」ということを、なるべく多くの方に知ってほしいと思っています。短いスパンで、少数のメンバーで仕事をするほうが性に合っているという方であれば、テレビのCGの仕事にはとても向いていると思います。 学生時代に独学でCGを学び、2000年頃は個人でWeb制作を請け負っていました。卒業後はアニメ制作の仕事をしていましたが、7年前に今の現場に入りました。今は新井の下で、CGデザイナーをサポートしています。具体的には、CGデザイナーがつくりたい作品ができるように、ハードを用意したり、ソフトをつくって手助けしたり、機器のメンテナンスをしたり、という仕事をしています。 大学では音声・言語を研究していたのですが、2004年に卒業後、新卒で今の現場に入りました。この仕事は今年で5年目になり、新井の下で遠山と一緒にCGデザイナーのサポートをしています。 |
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