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Vol.33 ロサンゼルスで開催された「SIGGRAPH2010」をレポート!

「The People Behind the Pixels」をテーマに、コンピュータグラフィックス(CG)とインタラクティブ技術に関する学術会議SIGGRAPH 2010 が米国ロサンゼルスのダウンタウンコンベンションセンターで8月25日から29日に開催された。

第37回を迎えた今年は、79ヶ国から22,549人のアーティスト、研究者、ゲーム開発者、映画製作者、教育関係者、学生などの参加があり、900人を越える専門家による講演、パネルセッション、論文発表、プレゼンテーション、作品展示、作品上映などが行われた。エキシビションには、160社を越えるソフトウェア/ハードウェアメーカーやプロダクション、出版社、教育機関が出展し、比較的小ぶりではあったが勢いのある様相だった。会場が映画産業の拠点ハリウッドから車で数十分と近いダウンタウンということもあり、映画業界関係者の発表や参加者も目立った。


河口洋一郎氏が芸術家賞を受賞

正式名称は「Distinguished Artist Award for Lifetime Achievement in Digital Art」という、デジタルアートにおける生涯にわたった顕著な功績を称える賞である「芸術家賞」を河口洋一郎氏(東京大学教授/CG-ARTS協会評議員)が受賞した。この賞はアーティストに対して贈られるもので、この賞が設置された2009年にはRoman Verostko氏 と Lynn Hershman Leeson氏が受賞している。2005年に西田友是氏(東京大学教授/CG-ARTS協会評議員)がCG界のノーベル賞とも言われるクーンズ賞をアジア人で始めて受賞したのと同様に大変栄誉あるものだ。

ACM SIGGRAPHは、河口氏のコンピュータ技術や生物学的形状、現代芸術に関するひたむきな研究から得られた、驚くほどの美意識と、それに命を与える彼の創造的で革新的な芸術性を評価したと発表した。


論文発表

世界最高峰のCGの研究成果が発表されるTechnical Papers。
今年は、33のテーマに分かれて132本の論文が4日間にわたって発表された。日本の研究者では、五十嵐健夫氏(東京大学教授)と三谷純氏(筑波大学准教授)が『Apparent Layer Operations for the Manipulation of Deformable Objects』を、さらに五十嵐氏はMITのAlec Rivers氏とFredo Durand氏らと『3D Modeling With Silhouettes』を発表した。



テクニカルペーパートレーラー

http://www.siggraph.org/s2010/for_attendees/technical_papers/siggraph_2010_technical_papers_trailer

論文発表のセッションは専門的で敷居が高いと感じる参加者も多いが「Technical Papers Fast Forward」は、発表されるすべての論文を2時間で見わたせる。発表者は、かなり羽目を外しウィットに富んだ人も多く、難しい研究も楽しく鑑賞できる場となっている。今年も大勢の人が参加したこのセッションは開催初日の夜に行われた。

また、ゲームとアートの分野にもそれぞれ論文発表がある。Game Papersは、「Biometrics and Physical Controllers」と「The Player Experience」、「Game Design」の3つのテーマに分かれたセッションで11本発表された。Art Papersは、「Design and Computation: Process, Product, Play」と「Information Aesthetics」の2つのテーマに分かれたセッションで6本が発表され、それらの論文は『Leonardo, Journal of Arts, Sciences and Technology』の特別号としても出版された。


コンピュータアニメーションフェスティバル

Computer Animation Festival(CAF) には、750作品の応募があり、会期中に100作品が上映された。

トレイラー
http://www.siggraph.org/s2010/for_attendees/computer_animation_festival/siggraph_2010_computer_animation_festival_trailer

今年は、「Production Session」という新しいプログラムが加わり、『Making "Avatar"』『Iron Man 2: Bringing in the "Big Gun"』『Animation Blockbuster Breakdown』『The Visual Style of How To Train Your Dragon』『The Last Airbender: Harnessing the Elements: Earth, Air, Water, and Fire』『Day & Night』『Alice in Wonderland: Down the Rabbit Hole』『The Making of God of War III』『The Making of TRON: LEGACY』といった多数の映画のメイキングに関するセッションなどがあった。ここではWeta Digital、Industrial Light & Magic、Pixar Animation Studios、Walt Disney Animation Studios、DreamWorks Animation、Digital Domain、Sony Pictures Imageworksといった有名スタジオのクリエイターたちが登壇し、制作工程ごとに詳しい解説が行われた。

中でも注目を集めたのが、『Avatar』。Weta DigitalとLightstorm の担当者によって、撮影、ライティングとレンダリング、ボリュームレンダリング、コンポジットなどの解説が行われた。簡単に紹介すると、撮影では、写実的でステレオスコピック(S3D)の特性である奥行きを駆使したシーンをつくるために合成プロセスが非常に複雑だったことや、キャラクターの動作、キャラクターがインタラクションする葉や木の形状、カメラワークなどは始めから詳しく決定されていたことが紹介された。また、S3Dでなければレンダリングを何回にも分けて行い、後で画像処理を施したり合成することが一般的だが、この映画の場合、奥行きなどを考慮した合成プロセスが複雑になることが分かっていたため、さまざまなレンダリング手法を活用してできるだけシーン全体を一度にレンダリングするように心がけたという。ジャングルに差し込む陽光の線、滝の水しぶき、空を飛ぶシーンの雲や霞などの、この映画の世界観をつくり出すのに欠かせない要素は、すべてボリュームレンダリングを使って表現された。最後にコンポジットについては、2,300以上のショットと約5万の要素が合成されたことが紹介された。ショットはすべてS3Dであり、要素も実際に奥行きのあるものを使用し、合成のプロセスにもいろいろな工夫が凝らされたという。



CAFのメインイベントであるエレクトロニックシアター会場では、 入り口でRealDの立体眼鏡が全員に配布され、46の作品とテクニカルペーパーズのトレーラーの上映が行われた。日本のクリエイターの作品はW+K TOKYO LAB/Polygon Picturesの『HANABEAM』、Daihei Shibataの『The Light of Life』、WOW inc.の『Suiren』の3作品。



今年のBest in Show Awardは、ドイツの名門Filmakademieの学生作品『Loom』。Jury AwardはニュージーランドのDelf Productionsの作品『Poppy』。Best Student Project PrizeはCalifornia Institute of the Artsの作品『The Wonder Hospital』だった。

CG-ARTS協会が推薦した2作品(「第13回文化庁メディア芸術祭」審査委員会推薦作品)、五島一浩氏の『Grained Time Vol.1』と、モンノカヅエ/ナガタタケシ(トーチカ)氏の『Ogre You Asshole ? Pinhole』は招待セレクションとして上映された。

また、ゲームやシミュレーションなどのリアルタイム作品を集めた「LIVE REAL-TIME DEMOS」では、3日間にわたって毎夕日替わりで7作品のプレゼンテーションが行われた。
http://www.siggraph.org/s2010/for_attendees/live_real_time_demos




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