樋澤 明
凸版印刷株式会社
文化事業推進本部 部長
3次元CGを使ったディジタル映像制作のために、クリエイターの業務として必要な実写とCG、制作フローに関する知識を学ぶことを目的とした書籍「ディジタル映像表現」。この本の魅力について、凸版印刷株式会社文化事業推進本部 部長 樋澤 明氏にお話を伺いました。
樋澤氏は、1996年に「ディジタル技術を印刷術に活用する」、「ディジタル表現を印刷表現に融合させる」こと、またディジタル時代の人財育成を目的にグラフィックアーツラボ(GALA)を開設し、CG、VR、ディジタルアーカイブなどの表現開発をされました。
10年の活動でGALAを解散し、その後文化事業特化したコンテンツ企画制作を進めています。最近では、カンボジア政府、東京大学池内研究室、写真家バク斉藤氏の協力を得て、アンコール遺跡バイヨン寺院のVRコンテンツ『尊顔の記憶』を企画制作し、自ら企画プロデュースを行った九州国立博物館開館「迫真のアンコール遺跡 尊顔とバイヨン寺院展」で公開し、話題を呼んでいます。
参照:http://www.kyuhaku.jp/event/event_070913.html
「ディジタル映像表現」を手にしたときの印象はどうでしたか?
私は、今でこそディジタルコンテンツの企画制作を行っていますが、入社以来半分以上はアナログ的な仕事を進めてきました。しかしながら、90年代に入り制作手法は徐々にディジタル化が始まりました。それに伴って新しい知識を習得し、新しい表現の可能性にトライアルしてきました。
やがて、それらを武器に私達にとっての新しいメディアを立ち上げる、ということを試行錯誤してきました。振り返ると、人に何かを伝えるときには、長年培われたコミュニケーションのルールから獲得される感性を軽んじてはいけないと思っています。このテキストブックは、そのことをよく理解された編集方針が明確になっているなあということを感じています。
この本の魅力を教えてください
全体の約30%が映像制作を行うための基礎体力というべき、写真撮影の知識とその表現、ムービー映像の様々な制作ルールなどが網羅されていることが第一の魅力。さらに、新しいディジタル技術や新しい制作ツールの紹介とその表現の可能性を提示しているところが第二の魅力。
いずれにしても、「コミュニケーションのために」をベースに書かれている編集が解り易く良いですね。
御社ではどんな場面でどんな方に活用いただけそうでしょうか?
凸版印刷では、さまざまなディジタルコンテンツに関わる業務が集積していますが、狭義な分野ではなく、これからますます重要になるプロデューサー教育に活用できるのではないかと思います。つまり、プロデューサーとしての教育は、ビジネス系、エンジニア系、クリエイティブ系に偏らず共通基盤の共有が大切だと考えるからです。映像制作の基本を体系的に網羅しているこの本は、その一助となると思います。
これからこの分野を目指す方にメッセージをお願いします
ディジタルコンテンツを、自分の作品として企画・制作する場合、業務として受託し企画あるいは制作をする場合、さらにビジネスの武器にしたいという場合などさまざまなケースがあるかと思います。
どのような場合においても、十分に学んでおくべき基礎情報の集積が、このテキストにあります。技術は普遍ではなく、常に学ぶべきものです。そして、その土台となるしっかりとした基礎づくりは重要なことです。その第一歩として「ディジタル映像表現」を活用されることをお薦めします。
樋澤 明
凸版印刷株式会社 文化事業推進本部 部長
アートディレクター。1974年凸版印刷入社。92〜94年のトッパンアメリカニューヨーク駐在後、96年デジタル工房GALAを開設し、印刷、CG、VR、デジタルアーカイブなどの表現開発を行う。99年マルチメディアグランプリ特別賞受賞。02年アジアデジタルアート大賞受賞。共著「デザイン事典」(平凡社)、「ビジュアルデザインNO.1」(六耀社)など。九州大学大学院芸術工学研究院ADCDU非常勤講師、武蔵野美術大学非常勤講師、静岡文化芸術大学非常勤講師。


